アートは商品機能か

元の化粧品開発マンであったころ、担当していた化粧品ブランドの一個箱の内側に施してあったデザインと色彩がコストダウンの方針からカットの圧力に屈した。フレグランス商品だったと思う。当時は説得して拒否するだけの論理も持たなかった。

商材が世の中に出て一部の人にしか持てないときには、希少価値が高級感でもあり、言わば遊びの部分があることも比較的許される。新しいテクノロジーや創造性が文化価値を持つからだろうか。競争が少ないということもあろう。その後、競争が激しくなり大衆に普及するようになるとコスト競争に陥る。新興の競合が価格で勝ろうとするため、機能に関係のない部分や、機能の一部ですら削除の対象となる。その時にアート感覚のものまでがそぎ落とされてしまう。機能主体のコモディティー化の道を歩むことになる。

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