ユニ・チャームは、女性の分泌物質である“おりもの”に、排卵日の予測に必要な黄体形成ホルモン(以下、LH)を発見した。なお、本件はクレインバイオ社と千葉陽子教授(前・京都看護大学大学院看護学研究科、現・滋賀県立大学大学院人間看護学研究科)との共同研究によるものである。

共同研究から、“おりもの”に黄体形成ホルモン(LH)が含まれていることを発見した。“おりもの”によって排卵日を判定する感度は86%であることが確認できた。「排卵日を含む6日間」に90%の割合でLHが分泌されることが確認できた。

妊娠を希望する女性(妊活女性)にとって、排卵日を事前に把握することは重要である。現在、一般的な排卵日の予測方法は、専用の検査キットで尿中のLHを確認するものだ。この方法は比較的簡便であるものの、毎朝起床直後に測定する必要があるなど、一部の利用者にとって「朝の忙しい時間が奪われる」などが負担であることがわかった。

このような妊活女性の生活実態を踏まえ、時間に縛られることなく排卵日を予測する方法を調査・研究することとした。なお、調査・研究に際しては、クレインバイオ社および、京都看護大学との共同研究とした。

<共同研究の概要>
対象: 20 歳以上40 歳未満の月経関連の疾患を有さない女性16名(妊娠・出産経験は不問)
時期: 2019年5月~2020年9月(共同研究以降、学術論文発表に向けて準備)
方法: 以下の手順にて被験者のおりものに含まれる成分を抽出し測定・分析を行った。

(1)被験者に尿の検体採取キット及び無香料のパンティライナーを支給し、月経後10 日目から月経後19 日目の尿とパンティライナーを回収。
(2)回収したパンティライナーの中心部を2 cm2切り取り、プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した500 μlのPBS(リン酸緩衝食塩水)に含浸後、3600 rpmの遠心操作によって抽出液を回収し測定検体とする。
(3)尿及びおりもの中のLHはELISA法(酵素結合免疫吸着測定法)により測定を実施。また、検体の濃度の外的要因を除外するため、尿中クレアチニンをELISA法により、おりものは総タンパク量をBCA法(ビシンコニン酸法)により測定し、補正を実施。

共同研究の結果、尿中のLHを基準として排卵日を定めた場合、おりもの中のLHは排卵日を含む6日間に90 %の割合で現れた。おりもの中にLHが見られる日とその前日を比較し、LHの強さを測定した結果、おりもの中のLHは0.15 mIU/mgにおいて感度86%であった。

<クレインバイオ社 齋藤 敬太氏のコメント>
本プロジェクトをユニ・チャーム様と企画するにあたり先行研究の調査を実施したところ、おりものに関する研究が世界的に少なく、手付かずと言ってもいい状態にあることがわかりました。実際におりものを調べてみると、女性がご自身の身体を知るのに有用な成分が、含まれていることがわかりました。これは毎日トイレで測定する手間から妊活女性を解放することにつながる大きな発見であったと考えています。今後も、ユニ・チャーム様と共に自分の身体を知る開発を続けて参ります。

<千葉陽子教授(前・京都看護大学大学院看護学研究科、現・滋賀県立大学大学院人間看護学研究科)のコメント>
膣から分泌される「おりもの」は、実は性ホルモンの影響による女性のからだの周期的変化を反映してくれている大切な物質です。今回の研究では、おりものから排卵前に分泌されるホルモンの変化を把握できることがわかりました。おりものからの情報を「科学的」にキャッチできるようになるのは画期的です。多くの女性が自分のからだの変化に今まで以上に関心を持ち、日々のセルフケアを充実させていくことを願っています。

なお、本研究は8月4日配信したリリース『妊活タイミングをチェックできるおりものシート』の開発検証に応用されている。