アイスタイル遠藤宗社長COOが「関西一愛される店になりたい」と話すのは、2023年9月1日10時30分にオープンした「@cosme OSAKA」のことだ。売り場面積は西日本最大級の270坪で、ブランド数は約500。500円以下のプチプラから10万円超の高級品を取りそろえ、しかもクロスマーケティングを強く意識した売り場に並ぶ。約1万2000点の商品との新しい出会いを生み出す考え。「東京原宿にある旗艦店@cosme TOKYOのコピーをつくったわけではない」と遠藤社長は説明。同店の責任者であるアイスタイル店舗カンパニーOSAKA事業部の加藤涼太マネージャーも「@cosme TOKYOはライバル。切磋琢磨してより良い店をつくりたい」と意気込む。

アットコスメ初導入ブランドは、「CHANEL(シャネル)」「SUQQU(スック)」、「athletia(アスレティア)」「HERA(ヘラ)」の四つ。SUQQUはセミセルフ業態には初出店。HERAは日本初上陸のコスメブランドで、メーカーはアモーレパシフィックだ。資生堂が9月21日発売するメイクブランド「inoui(インウイ)」も先行披露した。

アットコスメ初導入ブランドのシャネル

入り口付近には、認知が低いD2Cブランド、日本未導入の海外ブランド、先行発売品など、来店客にワクワク感を与える商材を取りそろえる「NEXT TREND」を設置。そこから店内を回遊すると、ラグジュアリーブランドやセルフブランドなどの売り場が広がっている。@cosme TOKYOの成功事例である「セールスランキングタワー」や「アットコスメ ベストコスメアワードウォール(歴代ベスコス受賞商品を陳列)」なども水平展開している。売り場面積は、@cosme TOKYO(1~3階)の400よりも小さいものの、ワンフロアに売り場が展開していることから、数字以上に広く感じる店内になっている。

@cosme OSAKA セールスランキングタワー

@cosmeベストコスメアワードウォール

また、店内奥にあるコスメサンプルスタンドは、@cosmeのアプリをかざすだけで、好きなサンプルがもらえる自動販売機。1日1回、各商品1日20個限定。アプリを介することで、いつ、誰が、サンプルをもらったか把握できる。メーカー側にマーケティングデータとして提供する考えだ。

コスメサンプルスタンド

西日本最大のターミナル駅JRである大阪駅の周辺近には、百貨店やバラエティショップ、ドラッグストアなどが立ち並ぶ「コスメ消費激戦区」だ。「@cosme OSAKA」のオープンで化粧品の買い場として、一段と認知が高まるは必至。遠藤社長は次にようにいう。

「(設立時から)@cosmeは、化粧品を買うときのハブ(橋渡し役)になりたい、という思いを持って店を作っている。(全品、自由に試せる)@cosmeで商品と出会い、いつも買う他の店舗で購入しても構わない。どこで購入するかは、お客さまの自由ですから。梅田エリア、そして化粧品市場全体の活性化につなげることで、専門店の存在意義を示したい」

@cosme OSAKAの効果は、これだけではない。@cosme TOKYOから@cosme OSAKAの進化で示したのは、今後の店舗戦略が変わること。また、人材育成の面でも大きな成果があり、その効果はリテール事業以外にも波及するだろう。またオープン前日に行った内覧会で、加藤マネージャーが「改善したいところはたくさんある」と旗艦店の立ち上げに満足している気配はなく、伸び代も十分。詳細については23年10月6日発売の「国際商業11月号」で紹介する。