アルビオンは、昨年新規クレンジング製剤として発表した「バイコンティニュアス(BC)/液晶(LC)構造体」(図1・右)について研究を重ね、この度使用感の数値化に成功。一般的なクレンジングクリームとは異なる転相(連続相と分散相が逆転する現象)過程を解明した。従来の方法(定常流動測定)では測定が難しく、新たに実使用を模した測定方法(インターバル測定)を開発し、BC/LC構造体の使用感特徴を明らかにした。

今回の研究は、第73回コロイドおよび界面化学討論会にて発表した。

IFSCC2021メキシコ大会において、新規クレンジング製剤としてBC/LC構造体の構築について報告。BC/LC構造体は、BC相を応用しているため、高いクレンジング力や洗い流し性に優れているだけでなく、LC構造を組み合わせることでクリーム状に増粘しており、洗浄性と使用感に優れているという点が特徴だ(図2)。そこで、使用感の中でも数値化や比較が難しい「転相」に着目し、レオメータ(粘弾性を評価する測定器)にて特徴的な転相感の解析を試みた。

BC/LC構造体について、レオメータの従来の測定方法(定常流動測定)を行ったところ、粘度低下せずに一定を示した(図3)。これは、一般的なクレンジングクリームは力を加えるだけで減粘するのに対し、BC/LC構造体は変化が起きにくいことを表している。

しかし、実際に使用すると粘度低下が起こるため、製剤を伸ばすような力を加えるだけでなく、塗布した製剤が空気に触れることが重要だと考え、実使用を模した測定方法(インターバル測定)を新たに開発。「サンプルに一定の力を加えた後、空気に触れさせる工程を何回か繰り返す」測定を実施し、BC/LC構造体の粘度低下をとらえることができた(図4)。

また、電気化学解析により、BC/LC構造体の粘度低下は、空気に触れることで肌に接する相がオイルに変化すること、つまり「転相」に由来することがわかった(図5)。

今回新開発したインターバル測定および電気化学解析の併用により、BC/LC構造体には、力だけでなく空気接触が重要であるという特徴的な転相過程を明らかにすることができた。

今後は新たに開発した測定方法だけでなく、従来の測定方法を組み合わせることで、より詳細な使用感を測定できるようになり、BC/LC構造体の成分変化が製品の使い心地に与える影響を可視化することで、使用感コントロールが可能になると想定される。

使用感変化の数値化は様々な製剤で応用が可能。生活者に心地よくスキンケアを楽しんでもらうために、同研究で得られた知見を活かし、満足度の高い商品開発に繋げていく考えだ。