花王は9月29日、パーム油由来の原料に代わる植物由来原料の商業化を目指す米国のベンチャー企業の設立に参画すると発表した。サステナブル素材のリーディングカンパニーであるGenoとユニリーバと共に創立メンバーとして参画し、Geno とユニリーバがすでに発表している1億2000万ドル(約170億円)に追加出資した。

同ベンチャーは、持続可能な方法で調達されたパーム油への需要が世界的に高まる中、グローバルで6520億ドル規模のホームケア、パーソナルケア市場におけるサプライチェーンの安定、強化を図ると共に社会と環境に配慮し、責任を持って調達されたパーム油代替原料を市場へ供給していく。

Genoの技術は化石由来の代替原料を提供する。初期の検討では、Genoの技術に基づく植物由来の代替原料はパーム油由来原料に比べ、最大50%のCO2排出量削減を見込む。

花王の出資により同ベンチャーは、パーム油代替原料の生産能力のさらなる拡大を図る。今後数年間で1億トンの温室効果ガス削減というGenoの目標達成にとって重要な一歩となる。また、花王の130年以上にわたって培われたコンシューマープロダクツ事業およびケミカル事業での知見が加わることで、同ベンチャーの世界的な展開と影響力がさらに強固なものになることが期待される。

花王は、2040年までにカーボンゼロ、50年までにカーボンネガティブという目標を掲げており、今回の取り組みは、その目標達成のための重要な戦略的決断となる。持続可能なパーム油とその誘導体が、花王にとって今後も重要な原料であり続ける中、同ベンチャーはバイオテクノロジーを用いて、よりサステナブルなパーム油代替原料を製造し、花王はそれらをホームケアやパーソナルケア自社製品に使用すると共に、その誘導体をケミカル事業顧客へ供給していく。

また、トレーサブルで透明性の高い新たなサプライチェーンを確立することで、責任ある原材料調達をさらに推進する考えだ。