世界で勝つために積極的に投資
創業150周年の節目を迎えた資生堂は、次の成長に向けて盤石な事業基盤を築いた。2019年12月に本格稼働した那須工場に続き、20年12月に大阪茨木工場、21年3月に西日本物流センターが始動。そして22年5月から福岡久留米工場が動き始めた。共通するのは、グローバル視点の供給体制の確立、IoT活用による生産性の大幅向上、「PEOPLE FIRST」の徹底、サステナブルへの対応、地域との共生などである。22年5月20日に行った大阪茨木工場の内覧会において、資生堂の魚谷雅彦社長は「お客さまとの絆であるブランドの価値は、重要な企業価値だ。それは技術のイノベーション、広告宣伝などを通じたコミュニケーションに加え、お客さまの期待を上回る最高品質の商品を安定供給することで成り立つ。つまり、生産や物流などのサプライチェーンの強化は、経営の根幹である」と国内に新しい工場と物流センターを新設した意義を語った。
資生堂が国内生産にこだわるのは、14年4月に始まった魚谷体制で掲げた「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を実現するためである。その出発点は、社長就任後、世界中の地域本社に足を運び、魚谷社長が社員や生活者と交流したことにある。競合他社に対する資生堂の優位性は、世界をリードするR&D(研究開発)、それに裏打ちされた質の高い商品を安定供給するサプライチェーンが生んでいることは明らかだった。だからこそ、R&D投資は売上高の3%以上と定め、新しい研究開発拠点として「資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)」を設置した。さらにR&Dの多様な知見を生かした高付加価値品をつくり、それを高次元で品質を担保しつつ生産。タイムリーかつ効率的に世界中のお客に届けることが求められる。これを実現するために、資生堂は、那須工場、大阪茨木工場と西日本物流センター、福岡久留米工場の新設に踏み切ったのである。
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