サンスター財団は2022年2月18日、金田博夫研究助成基金として初の贈呈式を行った。会場はサンスターコミュニケーションパーク(大阪府高槻市)。新型コロナの感染状況を鑑み、贈呈式は現地及びオンラインを組み合わせたハイブリット形式で行った。

同基金は09年に創設。そのきっかけは、08年7月年に日米の専門家パネルのメンバーが集い、口腔の健康と全身の健康の関連性についての科学的知見を再評価し、より深く考察する国際会議「軽井沢2008会議」が開催されたことである。この会議で策定された「軽井沢合意書(https://www.sunstar-foundation.org/wp-content/uploads/2022/02/agreement.pdf)は、現在もサンスターの口腔保健と全身の健康への思いと研究の成果を合せて具現化していく指針になっているのだが、行動計画には、若手研究者の育成が掲げられている。そこで09年創設の「金田博夫研究助成基金」では、糖尿病、糖尿病合併症や糖尿病との関連が疑われる疾患等に対する予防・運動・食事を含む歯科分野、医科分野の基礎研究ならびに臨床応用研究を支援する目的で、日本の若手研究員の海外留学を支援し続けている(希望する海外の大学研究機関に2年間留学する滞在費〈米ドル10万ドル〉と往復渡航費〈日本円100万円と米ドル10000ドル〉を補助)。

21年の受給者は、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野助教・芝多佳彦氏(研究テーマ:歯周炎と臨床症状が類似するインプラント周囲炎が他の全身性疾患に及ぼす影響)、金沢医科大学糖尿病内分泌内科学助教・高垣雄太氏(研究テーマ:糖尿病におけるサルコペニアに対する治療戦略の確立)である。それぞれ贈呈式で、次のようにコメントした。

「歯周病は人類史上最も感染者数が多い感染症であり、2001年ギネスブック認定されています。医療の発展により、インプラント歯周炎も増えており、インプラント歯周炎の原因究明と、治療方法の確立は急務であると考えており、得られた研究結果が将来の国民の健康に寄与することを目指していきたいです」(芝多佳彦氏)

「骨格筋の研究は大学生の時からチャレンジしたいと思っていたので、念願の研究ができること大変嬉しく思います。筋肉量が低下しているサルコペニアの方にも食事制限することなく元の筋肉量へ戻す方法を確立することで血糖コントロール、生き生きとした生活を送ってもらうことが最終的な目標です」(高垣雄太氏)

また、贈呈式では、サンスター財団の牧山義仁理事長が開会の挨拶を行った。サンスターの「100年mouth100年health」メッセージ、その考えのもととなる取り組み、1979年の研究基金設立から同助成基金設立までの歩みを説明。また、欧州・米州担当COO兼CTO補佐・中村正一氏は、自身のアメリカ留学経験を踏まえ、「Do as you like(お好きなことをしなさい)、Do as much as possible(できるだけたくさんのことをしなさい)、Vison&Work harder(ビジョンをもちながらしっかり勉強してください)」とエールを送った。選考委員長の大阪大学大学院歯学研究科教授・村上伸也氏は、選考講評のなかで「選考では元気で志があり、海外での経験を活かし、それぞれの好奇心の先に日本国民の健康に帰するような研究をしていただきたい」と選考への思いを説明。その上で「同基金が今後の研究キャリアの中で、心のどこかで、医科と歯科の接点について考えてるきっかけなってほしい」と話した。

最後にサンスターグループ最高経営責任者・金田博夫氏が次のように話し、贈呈式は幕を閉じた。

「お二人の先生の研究にはもっと早くお目にかかりたかったと思うほど深い関心を持っており、研究結果を聞くことを楽しみにしております。留学後も、お身体、ご家族を大事にしながら、ご自分の研究に精を尽くしてくださることが、人々の健康の増進に寄与する第一歩となりますので、どうぞ気をつけていってきてください」

なお「2022年度 金田博夫研究助成基金」募集要項詳細は、以下のサイトで公開されている。https://www.sunstar-foundation.org/aid/project/