原料価格の高騰は、日用品メーカーの頭痛の種だ。P&G(米国)の2022年6月期は18億ドル(1ドル110円換算で1980億円)のネガティブインパクトを想定。ディーゼル燃料の価格が35%上昇すると予想し、運賃と運送費も1億ドル(同110億円)の増加を見込んでいるという。ライオンの21年上期は原料価格の上昇が8億円の減益要因になった。原料価格の下期想定は、年初予想に対して、ドバイ原油が1.25倍の70ドル、国産ナフサが1.5倍の5万2000円、粗パーム油が1.1倍の4000RM/tonと見込む。花王は、21年上期に影響はなかったとしながらも、通期ではマイナス80億円を計画。ライオンの掬川正純社長は上期決算発表会において「(原料価格の増減が)当社に具体的なインパクトが出るのは3~6カ月のタイムラグがあります。下期の価格は7月の時点でほぼ見通しがついていおり、この半年間については、これ以上の大きな影響が出ることは想定していません」と説明した。

だが、原料価格の上昇は長引きそうなのだ。例えば、パーム油はアブラヤシの果実から得る。世界有数の産地であるマレーシアでは、果実になっているものの、収穫ができず、熟し過ぎ、そして腐り始めている。その理由は労働者不足の深刻化だ。マレーシアの人々は、重労働の果実収穫を避けており、収穫は外国人労働者に頼っている。コロナ禍になり、マレーシアは外国人労働者の入国を厳しく制限しており、依然として果実の収穫に目処は立っていない。従来通りであれば、パーム油は11月から3月までが減産期。10月までの増産期に在庫が増えなければ、22年もパーム油の高値が続いても不思議はない。また、米国のバイデン政権が打ち出したバイオ燃料政策により、原料を買い漁る動きが活発化。パーム油だけでなく、大豆、ひまわりなどの各種油の高騰を招いている。バイオ燃料政策を受けて、穀物メジャーが新工場を多数新設していることから、米国の方針が撤回あるいは緩和することは考え難く、植物由来の油の値下がりは期待できそうにない。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

ログイン