生活者、メーカー、バイヤーの三方良しを構築
中国ソーシャルバイヤーが再び脚光を浴びている。2019年1月施行の「電子商取引法」によって中国当局の監督が強化されたことから、越境転売の動きは下火になった。しかし、花王が在日ソーシャルバイヤーの組織化に動いたことで、潮目がガラリと変わった。中国生活者は、企業発信の情報よりも、信頼する人からのアドバイスを重視する傾向が強い。人から人に販売することから、口コミを生む効果もある。だから、多数のフォロワー(顧客)を抱えるソーシャルバイヤーは無視できない存在といえる。これまで日本ブランドは、価格コントロールが難しく、ブランド毀損を招くとして、ソーシャルバイヤーから距離を置いてきた。いわば、日本の常識を海外にも当てはめていたのだが、それが柔軟な思考でローカライゼーションを進める欧米韓ブランドとの差を生んだともいえる。それもあって「花王が上手いのは、ソーシャルバイヤーを組織化することで、高級品の価値毀損を防いでいるところ」と大手メーカー幹部は舌を巻く。
実際、花王とソーシャルバイヤーの取り組みは、それぞれの利害が一致するように工夫されている。花王は、過去の販売データをもとに、ブランド毀損を招かない売り方ができるソーシャルバイヤーを選抜。それは同時に、花王の化粧品ブランドに好意的なバイヤーを集めることでもある。ブランド担当者とバイヤーは定期的に勉強会を持つことから、信頼関係は強くなっていく。これは高級品の販売にとって重要な土台になるだろう。
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