オフラインVS.オンライン

ここ10年ほど、プロフェッショナル理美容流通の商流は激変している。言うまでもなく、ECビジネスを展開する新興勢力の台頭である。この動きに対して、旧来の勢力がどう迎え撃つか? という構図である。この対立構造は、このコロナ禍により鮮明になってきた印象を受ける。プロフェッショナル理美容業界では、昨年の非常事態宣言以降、メーカーやディーラーが理美容サロンへの訪問営業を自粛するなどの動きが見られた。NBBA(全国理美容製造者協会)のデータによれば、加盟メーカーの2020年度の出荷額は、前年度対比で5.4%のマイナス。関係者からの取材を総合すると、都市部では、10~20%のマイナスに対し、近隣消費・小商圏化が進んだことで、郊外・地方都市では100%を超えるところもあり、オフラインのビジネス全体で馴らすと5%程度のマイナスだったようだ。

一方、ECの雄・ビューティガレージであるが、第2四半期の連結業績(2020年5月1日~2020年10月31日)で見ると、売上高で前年同期比8.6%増の83億7200万円、うち物販事業は、13.4%増の69億円と、コロナ禍にもかかわらず(いや、コロナ禍であったからこそか)、圧倒的な強さを見せた格好だ。

ビューティガレージと「HAIRCAMP」の業務提携

今年の年初、面白いニュースが飛び込んできた。「プロ向け美容商材通販最大手の株式会社ビューティガーレジ(中略)の100%子会社であるBGベンチャーズが運営するBGベンチャーファンド第1号投資事業組合は、HAIRCAMP株式会社への投資実行を完了しました」といった趣旨のニュースリリースの発表である。

詳細に入る前に、「HAIRCAMP」という名前が初見の読者もいるかもしれないので、この会社について説明しておく。「HAIRCAMP」とは、美容師向けのオンライン学習サービスのコンテンツを配信する会社である。2013年の創業で近年、急速に利用者数を伸ばしているベンチャー企業だ。