ユニリーバは、成長戦略「ユニリーバ・コンパス」の下、2025年までに全世界で非再生プラスチックの使用量を半減するとともに、販売量よりも多くの容器の回収・再生を支援することを目指している。日本でも、2019年下期から「ラックス」「ダヴ」「クリア」などの容器に再生プラスチックを採用。さらに、2020年11月には「UMILE(ユーマイル)プログラム」を開始し、小売店店頭で使用済み容器を回収し、エコグッズ等に再生加工して消費者の手元に届けるプログラムを進めている。
一方花王は、製品ライフサイクル全体を通じた環境負荷低減に取り組んでおり、2019年4月にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を策定。プラスチックごみ問題に対しては、リデュース、リプレイス、リユース、リサイクルの4Rの観点で、包装容器に使用されるプラスチック資源の削減に努めている。2019年9月には、「リデュースイノベーション」「リサイクルイノベーション」で、プラスチック循環社会の実現を目指すことを発表している。
このように両社は、消費者、小売業、リサイクル業、自治体をはじめ多くの関係者の支援とともにプラスチックの資源循環を推進してきた。しかしながら、日本の日用品においては、メーカーによって使用しているプラスチック素材が異なること、使用済み容器を素材別に分別回収する仕組みがないこと、プラスチックの品質劣化を防ぎながらリサイクルする技術が確立されていないことなどから、多くの容器が再び容器へとリサイクルされていないのが実情だ。
そこで今回、ユニリーバ・ジャパンと花王は、日用品のボトル容器をボトル容器にリサイクルする水平リサイクルの仕組みの構築に、企業の枠を超えて取り組むことを決定。その一環として、資源回収の取り組みで知られ、ユニリーバ・ジャパンとの連携協定を締結している東京都東大和市の協力の下、使用済み容器の回収・再生プログラム「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」を実施する。
東京都東大和市内の10カ所に回収ボックスを設置し、家庭で使用後にきれいに洗浄して乾かした使用済み容器を回収。回収した容器はリサイクル事業を担うヴェオリア・ジェネッツ社へと運び、分別・洗浄・処理した後、ボトル容器からボトル容器への水平リサイクル技術の検証をする。
このプログラムを通して、消費者が参加しやすく、商業的にも持続可能な使用済み容器の分別回収の仕組みの検討、リサイクル技術の検証を進めるとともに、得られた知見を基に企業・業界の枠を超えて共通利用が可能な日用品の容器のガイドラインの策定に貢献していく。
また、ユニリーバ・ジャパンと花王は、同プログラムに関して、CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)において積極的な発信と呼びかけを行なうことで、多様なステークホルダーの理解と協力を得て、社会全体の取り組みとして進めていきたい考えだ。
さらには、資源循環社会の実現につながる新たなソリューションとして、日本から世界へ発信していくことを目指す。