帝国データバンクは、2019年度の理美容業者の倒産件数が180件(前年度比9.1%増)と、2年ぶりに前年度比増加となり、過去最多を更新したことを明らかにした。負債総額は、58億6600万円(同34.0%増)となり、負債10億円以上の倒産は発生しなかったものの、2年連続して前年度比増加となった。負債規模別では、「5000万円未満」が157件と小規模倒産が9割を占めた。
「衛生行政報告例(18年度)」(厚生労働省)によると、全国の理美容所は約37万施設存在している。こうした店舗過剰を背景とした同業者との競争激化に加え、家賃・人件費等の固定費負担や広告費ものしかかり、収益を圧迫している業者が散見される。
さらに、新型コロナウイルスの影響による消費者の外出自粛の広がりで、来店客数・客単価の減少や、来店サイクルの長期化も見込まれる。政府による緊急事態宣言の休業要請の対象に理美容室は含まれず、協力金の支給対象からも除外された(地域によっては給付金で対応)。
低調な消費が続く状況下、これまで営業を見合わせていた店舗の閉店や廃業を選択する事業者も増えてくると考えられる。個人経営業者では、代表者の高齢化や体調不良が重なり、運営体制を維持できなくなるリスクがはらんでおり、こうした中小規模事業者の淘汰は、今後さらに増加することが懸念される。