コーセーは2020年4月30日、20年3月期決算を発表した(https://kokusaishogyo-online.jp/2020/04/41972)。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が業績を直撃し、減収減益に陥った。次期の見通しも、売上高が前年同期比12.5%減、営業利益が同57.2%減、経常利益が同55.5%減、当期純利益が同53.2%減と厳しい。

この急激な経営環境の変化を踏まえ、コーセーの小林一俊社長は、決算発表に合わせてメッセージを発信。「どんな状況にあっても『美』は人類の味方なのです」と未曾有の危機をバネに新しい時代を切り拓くことの重要性を示した。

以下は、小林社長のメッセージの全文である。

この転換点を、その後の飛躍に繋げられるか

この度の新型コロナウイルスの被害に遭われた皆さまに対して心よりお見舞い申し上げます。

また、過酷な状況の中、治療や感染予防に献身的に取り組まれている医療従事者の皆さまに対し、心から感謝と敬意を表したいと思います。

さて、我々はこれまで、人の往来のグローバル化やボーダーレス化をビジネスチャンスの一つと捉え、新たな顧客接点の開拓や、販路の拡大に取り組んできました。しかし今回の事態は、そのグローバル化やボーダーレス化がはらんでいたリスクが急に、しかも極端な形で顕在化した結果と言えるでしょう。

ただ、人類は過去にも何度も疫病の大流行に直面し、克服して来た歴史があります。今回もウイルスという自然の脅威に対して改めて畏怖の念を抱きながらも、人類が協力して必ずや克服していくことでしょう。そこで大切なことは、この経験から何を学び、どう未来に活かすのかということです。

コーセーの小林一俊社長

既に多くの方から指摘されていることですが、今回のコロナ禍が終息した後は、決して「元の世界に戻る」のではなく、「違う世界になっている」と考えるべきですし、この転換点を、その後の飛躍に繋げられるかどうかは、我々ひとりひとりの考え方と行動にかかっていると言えます。

ビジネスの分野においても同様で、この未曾有のピンチへの対処を通じて、我々の社会への価値提供の方法から働き方に至るまで、全てを見直し、新たな可能性を見い出す、まさに変革のチャンスとすべきと考えます。

そして美容に関わる我々としては、このような事態だからこそ、生活に潤いや彩り、安らぎを提供するという使命を改めて心に刻み、少しでも皆さんの心が豊かになり、世の中を明るくしたいという思いを新たにしています。どんな状況にあっても「美」は人類の味方なのです。

今回の苦難を乗り越えることを通じて、世界中の人類が前を向き、力を合わせ結束すること、本当に大切なものを見直す機会とすること、そして、より素晴らしい新たな世界を切り拓く転機とすることこそ、我々が乗り越えた先に得られる「本当の成果」なのだと考えます。