ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担う、ポーラ化成工業は3月16日、日立造船が生産する機能性材料「トチュウエラストマー」を使った化粧品の容器と原料の共同開発を3月から開始したことを明らかにした。両社は、植物由来の成分を適用することで、環境負荷の低い製品の実用化を目指す。

「トチュウエラストマー」とは、落葉樹のトチュウ(杜仲茶の木)から抽出・精製した100%植物由来のバイオポリマーで、「柔軟性に優れ衝撃に強い」「水をはじく」といった性質を持つ。持続的な社会の実現と、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、CO2排出や廃プラスチックの削減など環境課題の解決を図る取り組みが求められているなか、日立造船は「トチュウエラストマー」を新しい機能性材料としてさまざまな用途への展開を図っている。

そうしたなか、ポーラ化成工業と日立造船は、化粧品分野においても環境にやさしい容器と原料の開発を進めるべく、植物由来の「トチュウエラストマー」の特長を生かして、①環境に優しい自然に還る容器としての活用②高い肌実感機能をもつ化粧品原料としての活用――の二つの開発テーマに取り組んでいく。なお、環境にやさしい植物由来成分を、化粧品容器と原料の両方へ活用する共同開発は国内で初となる。

一方、植物由来の生分解性プラスチックは、衝撃に弱いことが課題となっている。しかし、植物由来の生分解性プラスチックであるポリ乳酸(PLA)に「トチュウエラストマー」を5%の割合で混ぜると、耐衝撃性が約2.4倍にまで高まることが実証されている。また「トチュウエラストマー」の遮水機能は高密度ポリエチレンに匹敵することもわかっている。これらの特長を容器に活用することで、強度に優れた生分解性容器の実現が期待できる。

また、「トチュウエラストマー」は柔軟性にも優れることから、従来の原料に比べ、美容効果として、しなやかでハリのある肌実感の付与が期待される。

ポーラ・オルビスグループでは、廃棄物を減らすために、1985年よりリフィル容器や詰め替え用化粧品を販売するなど、早期より環境に対する対応を行ってきた。この共同開発を通じ、植物由来の素材の適用を拡大することで、お客の求める化粧品機能を実現するとともに、環境負荷の低減に貢献し、持続可能な社会の実現を目指す考えだ。