コーセーは、肌のマイクロスコープ画像から図形的な特徴量を抽出し、その特徴量から機械学習によって肌のバリア機能を評価する手法を開発。これにより肌のバリア機能を簡便かつ迅速に計測することが可能となる。

現在、肌バリア機能は経皮水分蒸散量(TEWL)の測定により評価されることが主流となっているが、TEWLの測定値は外部環境により大きく変わってしまうため、一定環境が作れる特殊な部屋で測定する必要があり、さらに測定には一定の時間を要するため、これまで簡便に肌のバリア機能を測定することは困難であった。そのため同社は、簡便かつ迅速な肌バリア機能測定を可能とするため、理化学研究所医科学イノベーションハブ推進プログラムを活用し、慶應義塾大学医学部皮膚科学教室の協力のもと、画像から肌バリア機能を推測するプログラム技術の開発に取り組んだ。

マイクロスコープを用いて肌の画像を撮影し、トポロジカルデータアナリシスを主体とする一連の解析行程を経て抽出した特徴量はTEWLと高い相関性を有していることが明らかになった。この特性を利用し、肌画像から抽出した肌表面の位相的特徴量とその他年齢などの因子を基に機械学習アルゴリズムの一つであるランダムフォレスト回帰を行うことによりTEWLを精度よく推測することが可能となった。なおこの研究成果はSociety for Investigative Dermatology 77th Annual meeting(2019年5月8~11日、シカゴ)ならびに第44回日本香粧品学会(19年6月28・29日、東京)にて発表した。

同社では今後、店頭カウンセリングにおいても同技術の活用を検討し、お客の肌状態をより正確に把握することで、お客一人一人の肌状態に適したスキンケアの提案を目指していく考えだ。