「楽しい時間の共有が最優先」が持つ重み

「LGBT(性的マイノリティ)対応を怠ってはならない」。ある大手化粧品メーカートップはこう指摘する。2019年5月29日、労働施策総合推進法の改正案が参院本会議で成立、パワハラに関する内容が加わった。この成立を受けて厚生労働省が策定する「パワハラ対策指針」に、性的指向・性自認に関するハラスメント、アウティング(望まぬ暴露)も対象になること、それを念頭に置いたプライバシー保護を盛り込むことが望ましいとされた。これが冒頭の指摘の背景にある。

企業にLGBT研修を行うレティビーの外山雄太取締役は、自覚のない思い込みが他者を傷つけることを「無意識の偏見」と呼ぶ。これを防ぐには他者に配慮する組織風土を醸成することが必要だが、それは容易ではない。電通ダイバーシティ・ラボの阿佐見綾香氏は「日本社会は他の国に比べて宗教色が薄く、LGBTに寛容な側面がある一方、日本人という視点で価値観を同一化する傾向は未だに根強い。それゆえに、日本人は、自分と他人の違いに気がつくことが苦手といえる」と説明する。

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