国内改革の推進に「外圧」を利用する

お互い高い関税をかけ合い、米中関係は最悪の関係に陥り、世界経済に多大なるマイナスの影響を与えている。ただアメリカのクドロー国家経済会議委員長は、6月末、大阪で開かれるG20で、トランプ米国大統領と、習中国主席の会談が実現するだろうと、アメリカのテレビインタビューで述べている。私も実現すると思っており、かつ全面的ではないにせよ、交渉期間の延長を含む一定の合意がなされるだろうと見ている。トランプ大統領は中国から「目に見える」成果を勝ち取って再選につなげたいし、中国側も、アメリカとの「新冷戦」を避け、あと5年から10年の平和的発展の時間を稼いで、その間に経済と科学技術の発展でアメリカに追い付きたい。この基本的な両者の思惑は継続しているからだ。

それにしても、中国はこれまで「大き過ぎる」くらいの譲歩をしてきた。貿易不均衡是正のためにアメリカから農産物、シェールガスなどを大量に購入することにし、知的財産権の保護、国内市場の開放など「空前」の見返りをしてきた。メンツを重んじる中国人社会は反発しないのか、習近平政権は「弱腰」と批判されないのか、講演のたびにそのような質問を受けたほどだ。そのつど、中国政府の基本的な思考様式を説明した。すなわち「大幅な譲歩をしたほうが、国内改革を推し進めるのに、追い風として利用できる」と。

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