資生堂は、寒暖差(温度低下刺激)により肌のバリア・保湿機能に重要な酵素のひとつであるカスパーゼ14が減少し、肌荒れの原因となることを発見した。従来、季節の変わり目に生じる肌の不調は自律神経の乱れなどに起因すると考えられていましたが、今回の発見では寒暖差が直接的に肌に悪影響をもたらす要因であることを解明。さらに木苺果実抽出液がカスパーゼ14を増加させることも同時に発見した。

肌の最表面に位置する角層は、身体や肌を守る大切な役割を担っているが、この正常な角層形成に不可欠な酵素の一つがカスパーゼ14で、主に「肌のバリア機能促進」「肌の保湿機能促進」という二つの重要な機能を持っている。

同社が行った20~49歳の敏感肌女性200名を対象にしたアンケート調査では、97%の人が「寒暖差は肌にダメージを与える」という意識があることが明らかになっている。このことに着目し、“寒暖差”が引き起こす肌荒れメカニズムの解明を試みたところ、温度低下刺激を与えた3次元皮膚モデルによる実験で、“寒暖差はカスパーゼ14の遺伝子量を減少させる”ことを新たに発見した。これにより、寒暖差で生じる肌荒れの原因の1つは、カスパーゼ14の減少によって正常な角層形成および天然保湿因子(NMF)産生が妨げられることであると考えられる。

また、寒暖差により減少するカスパーゼ14を増加させる成分を探索した結果、木苺果実抽出液に皮膚細胞中のカスパーゼ14産生促進効果があるという知見を得た。このことから、木苺果実抽出液は寒暖差で減少するカスパーゼ14を増やし、寒暖差に負けない健やかな肌を生み出す効果がある可能性が見出された。

資生堂は、同研究成果を活用して、季節の変わり目や室内外の行き来といった急激な寒暖差でも健やかな肌を保つことのできるスキンケア製品の開発を進めていく考えだ。