1月21日夜、東急プラザ銀座6階・KIRIKO ROUNGEで「美容業界を語る!新年会&交流会」という美容サロン経営者などを中心とする交流会が開催された。主催したのはヘアサロン・美容院検索ポータルサイト「Beauty Park(ビューティーパーク)」を運営しているオーエス(織田光一代表)である。

オーエスからは「美容サロン経営は多くの悩みを抱えている。過酷な労働環境があり、従業員の健康をなによりもマネージする必要がある。従業員が健康であることが企業を健康にする。固定客の増加による収益の安定が人材定着の基本で、顧客へのサービス向上につながる」といったベーシックな話が打ち出された。

「美容業界を語る!新年会&交流会」の様子

美容サロン業界も働き方改革や人手不足問題の流れに直面している。サービス産業では、ヒトが宝で、ヒトが健康であることがビジネスの基本。いわば、美容サロンにおけるES(Employee Satisfaction・従業員満足)の重要性があらためて強調された。

エステサロン・鍼灸院経営のSalon Lena・柳澤奈々代表からは「エステ業界で働く女性たちの平均年収を向上させたい」といった経営の取り組みが紹介された。

「管理栄養士、臨床検査技師、看護士、鍼灸師、柔道整後師といった国家資格者とビジネスの融合が大切。栄養学などの内面美容の強化で顧客の信頼を得る。鍼灸ではその効用を訴求する。そうした取り組みで顧客単価を上げないと女性従業員の年収向上を実現できない」

Salon Lenaでは「社内で発表するのは、お店の顧客単価が平均でどのぐらいか。売上げ1位は誰か。ただ、具体的な金額などは発表しない」と経営システムを披露した。

中国からの来日美容ツアー客の背景にあこがれ

最後に、オーエスの織田代表から、中国からの日本への美容ツアーの現状について報告があった。

「インバウンドの来日客では、中国がトップ。中国から日本への旅行客は18年838万人、17年は700万人だから大きく伸びている。そのうえ18年には個人客が団体客を上回った。トレンドは爆買いから美容ツアーなどコト消費に確実に変わってきている。春節などの中国からの来日客では、美容サロンに行きたいという希望が18年3位、17年4位と着実に順位を上げている。インバウンドの美容ツアーへのニーズは引き続き旺盛。背景には日本の美容に対するあこがれがある」

オーエスは、17年から中国からの旅行客の日本の美容院への誘致ビジネスを展開して軌道に乗せている。東京、大阪、名古屋、兵庫、福岡の美容サロン40店と提携しており、来日美容ツアー客の受け入れ体制は整備されている。

国内の美容サロン市場は、人口の減少などから需要がシュリンクしており、新しい顧客を取り込むことが喫緊課題である。米中貿易摩擦による世界経済への不確実性が懸念されているが、織田代表は「日本の美容サロンへの中国からのインバウンドはまだ始まったばかりで需要の勢いは止まることはない」とみている。

ジャーナリスト・小倉正男