コーセーは2018年11月29日15時(現地時間)から、中国のフォーシーズンズ北京(Four Seasons Hotel Beijing)において、中国進出30周年を祝う式典「China KOSÉ30th Anniversary Ceremony 2018 in Beijing」を開いた。同社の中国進出は1988年に浙江省杭州市に中日合資春絲麗有限公司を設立したのが始まり。30年の節目を祝う式典には、中国の流通企業、メディアなどから122人が集まった。

式典では、過去の振り返りだけではなく、未来志向を強調した。コーセーのアジア戦略において、世界中を渡り歩く中華人は最優先のターゲット。その重要拠点である中国市場は、次の30年を見据えて、これまで以上に生活者に寄り添い、ブランド戦略を強化する。

それは式典の冒頭に流した約5分のショートムービー「30年後のわたし」で示した。以下は、そのナレーションである。

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30年後のわたしへ/元気ですか?/いま、わたしは何をしていますか?/いま、わたしはどこにいますか?/誰と一緒にいますか?/誰と笑っていますか?/夢は叶いましたか?/幸せですか?/さみしくないですか?/

わたしからみたら/30年後なんて遠い未来すぎて/あなたからみたら/30年前なんてはるか昔すぎて/お互いの顔も浮かばないくらい/ぼんやりとしたイメージだと思うけど/わたしは/あなたが笑っていられたらいいなと/それだけを思います/

いま、わたしはちょっと悩んでいます/わたしらしさって何だろうって/仕事、家族、友人、恋人/日々めまぐるしく流れてゆく時間や環境の中で/大切にしたい「自分のコアな部分」/それは本当にこれからも変わらずに/持ち続けられるのだろうかって/決して変化を怖がっているわけじゃないんです/でも、無駄に流されたくはない/これからの自分自身の歩みで/そんな自分らしさも強くできるのかな?/できるのかな?/

あなたはいま自分らしく生きていますか?/未来へむかって日々、一歩一歩/胸を張って生きていますか?/未来のあなたが/「ああしていればよかった」/「こうしておけばよかった」/なんて後悔しないように/わたしもいまをこれからの日々を/精一杯、笑顔で生きてゆきます/

その日までどうかわたしに勇気をください/それだけでわたしは/前よりすこしは強く/前に歩いていけるような気がするのです/だから、あなたも/わたしのことを笑って待っていてください/わたしが笑って/あなたの場所へ来る日を/笑って待っていてください/

いま、わたしは/清々しい気持ちでいっぱいです/時を超えて/未来の自分に手紙を書くなんて/正直、はじめは/恥ずかしくて仕方がなかったけど/あなたはわたしな訳だから/嘘もなく、心のままにいまの気持ちを書きました/わたしは、明日/明日のわたしに出会います/明後日のわたしに出会います

そして、30年後/わたしは30年後のわたし/そう、あなたに出会います/その日まで、どうか/わたしに勇気をください/それだけで、わたしは/前よりすこしは強く/前に歩いていけるような気がするのです

30年後のわたしへ/きっと前よりも強く/わたしはいまを、生きてゆく/わたしはいまを、生きてゆく/この先の30年/わたしたちは美しい知恵により/光り輝く/

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一方、コーセーの小林一俊社長は、式典で次のように述べた。

「コーセーは今年で創業72年目。海外進出50周年、中国コーセーが30周年です。コーセーは非常に良い形で30年を迎えられたと思います。いまのショートムービーにあったように、当社はこれからも、より良い化粧品を通して中国の女性を美しく、健やかで、健康で、生き生きとした生活を送っていただくために貢献することを約束します。そして、このことがこれから30年、40年、50年と中国と日本の関係がより良好な関係になることに、少しでも貢献できればと考えています」

「(先ほど流れた映像は)デコルテは昨年、イギリスのセルフリッジという高級百貨店に導入が決まった時に、ロンドンでのプレスイベント、それからセルフリッジの百貨店の中にケイトモスが来てくれて、オープニングイベントを行ったときの映像です。デコルテは、おかげさまで、アジア中心から北米、ヨーロッパのイタリア、スペイン、そしてイギリス・ロンドンに導入が決まり、今回、化粧品大国であるフランスにも導入が決まりました。デコルテは、ますますグローバルブランドにしていきたいと考えています。今日、集まっていただいた流通企業の方々のお客様である中国の女性、VIPの方も世界中を旅することが、今後、ますます多くなると思うので、そういった時にデコルテブランドが近くに、寄り添えるようにしていきたいと考えています」

「デコルテは、中国市場に速く導入したいという強い思いから、2009年に北京に1号店を出しました。それ以来、デコルテは、特に中国の富裕層に皆さんにご愛顧いただき、成長することができました。わたしも喜んでいますし、感慨深いものがあります」

「デザインは、ハイプレステージのラグジュリーブランドを目指そうということで、デコルテは中身、品質は我々の最高の技術を使った商品ですが、やはり、これからグローバルに通用していくには、デザイン、売り場を進化させていかないといけない。そういったものをお客様に五感で感じていただくために、2009年にマルセル・ワンダースさんと出会い、提携し、パッケージと売り場のデザインをやっていただきました」

「AQMWの中国導入時、11年に北京で導入発表会を行いました。この時は、アジア各国の当社の責任者、流通の方にも集まっていただき、アジア各国のデコルテのミューズの方々にも来ていただき、北京の迎賓館で盛大なパーティを行いました。今年の12月にリニューアルしたAQを中国に導入します。先ほどからお伝えしていたデコルテブランドは、昔はコスメデコルテだった。それをより中国の人にもわかりやすくするために、AQMWからAQにし、それからブランド名称をコスメデコルテからデコルテにして、認知が高まるようにしました。今回、12月にAQを進化させて発売することになりました。ぜひご期待ください」

「コーセーは2018年も大変好調な売上げで推移しています。特にデコルテブランドが好調で、グループの中でも一番伸びています。6年連続で過去最高の売上げ、利益を出せる予定です。本来、コーセーが2020年に計画していた売上げを昨年達成したので、2026年、ちょうど創業80周年を迎える年に、売上高5000億円、営業利益率16%以上を目指していきます」

「デコルテも重要だが、大事な重点グローバルブランドの中で雪肌精MYVも重要です。中国でも人気のある雪肌精をより進化させて、素晴らしい商品ができた。現在は5店舗の展開だが、デコルテ同様、早急に20店舗ぐらいにしていきたい。この雪肌精MYVも、デコルテ同様、パッケージデザイン、売り場デザインも大変こだわっています。世界的な建築家である隈研吾さんにお願いしています」

その後、式典では、中国古楽器演奏によるデコルテイメージパフォーマンス、建築家・隈研吾氏のインタビュームービー、三味線演奏者・成世昌太&和太鼓演奏者による雪肌精MYVイメージパフォーマンスを行った。

コーセーの中国戦略の現状と今後については、後日詳報する。