前編では、皮膚の体内時計や創傷治癒を手掛かりに、皮膚老化を「何がどれだけ増減したか」という量だけでなく、「いつ反応が始まり、どの程度続き、いつ終わるのか」という時間の軸から捉える重要性について論じた。後編では、その視点を細胞老化や炎症の収束へと広げる。老化細胞は少なければよいとは限らず、炎症も単純に抑えればよいわけではない。必要な反応を適切なタイミングで起こし、役割を終えた後に収束させ、修復へと移行する――。こうした「時間を設計する」という考え方が、美容医療や化粧品開発にどのような可能性をもたらすのかを考える。

老化細胞は「少なければよい」とは限らない

この時間軸の考え方は、細胞老化の研究にもつながっている。老化細胞とは、強いストレスやDNA損傷などを受けた結果、長期的に細胞分裂を停止した細胞を指す。こうした細胞は周囲へ炎症に関連する物質を放出することがあり、長期間蓄積すれば組織機能を低下させる。そのため、老化細胞を選択的に除去する「セノリティクス」と呼ばれる薬剤の研究が進められているのは記憶に新しい。

しかし、老化細胞は均一な集団ではないということが分かってきている。2025年、Kamatらはヒト真皮線維芽細胞を一細胞レベルで解析し、老化した細胞の中にも形態や機能の異なる複数のタイプが存在することを報告した[Kamat P, et al. Single-cell morphology encodes functional subtypes of senescence in aging human dermal fibroblasts. Sci Adv. 2025;11.]。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

ログイン