皮膚老化研究ではこれまで、コラーゲンを増やす、活性酸素を減らす、炎症を抑えるといった「何を増減させるか」が中心的な問いであった。ところが近年の研究をもとに、皮膚の体内時計、創傷治癒、細胞老化、炎症、再生など、互いに密接に関係する研究知見を「時間」という共通の軸から捉え直すと、もう一つの重要な視点が浮かび上がってくる。それは、皮膚の状態を左右するのは反応の大きさだけではなく、「いつ反応が始まり、どの程度続き、いつ終わり、次の状態へ移るのか」という時間の流れではないか、という考え方である。本稿では、皮膚老化を「量」だけではなく「時間」から捉え直し、次世代のスキンサイエンスへの示唆を考える。

研究領域が変わり始めた

皮膚老化の研究では長年、「何が増え、何が減るのか」という変化が重視されてきた。年齢を重ねれば、肌の弾力を支えるコラーゲンは減少し、紫外線などによるDNA損傷が蓄積する。活性酸素や炎症に関係する物質が増える一方で、組織を修復する能力は低下していく。こうした知見を背景として、コラーゲン産生を促す、活性酸素を減らす、炎症性因子を抑制するといった研究が発展してきた。いずれも現在の化粧品科学を支える重要な考え方である。

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