日本メナード化粧品は、6〜18歳の健常女性を対象に、皮膚常在菌叢と皮膚性状との関係について調査した結果、頬の皮膚常在菌叢のバランスが「11.6歳」を境に大きく変化することを明らかにした。
さらに、6〜11歳では細菌叢の多様性が高いほど皮膚バリア機能が良好であること、12〜18歳ではアクネ菌の割合が高いほど角質水分量が多いことを確認した。同研究により、年齢によって皮膚常在菌叢の状態が変化し、それが肌のバリア機能やうるおい状態にも大きく影響している可能性が示された。
ヒトの皮膚には、アクネ菌やブドウ球菌をはじめとした多様な皮膚常在菌が生息しており、それらは皮膚常在菌叢を形成している。その構成は、生活環境や外的刺激、個人差などにより変化すると考えられているが、未成年の皮膚常在菌叢に関する研究は少なく、その詳細は十分に解明されていなかった。
そこで同研究では、6~18歳の健常女性24人を対象に、綿棒による拭き取り法で頬の皮膚常在菌を採取し、次世代シーケンサーを用いて皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連を解析した。その結果、6~11歳では、ブドウ球菌、レンサ球菌、コリネ桿菌の割合が高く、12〜18歳ではアクネ菌およびブドウ球菌の割合が高いことが確認された(図1)。
さらに、各菌種についてセグメント回帰分析を行ったところ、細菌叢におけるアクネ菌の割合の転換点は、「11.6歳」であり、それ以降に割合が増加することが判明した。一方、レンサ球菌およびコリネ桿菌は、ほぼ同時期に割合が低下した(図2)。
これらの結果から、健常女性の皮膚常在菌叢は11.6歳を転換点として、その構成が変化することが示された。
さらに皮膚常在菌叢の構成が大きく変化する転換点である11.6歳を基準に、被験者を6~11歳群と12~18歳群の2群に分類し、それぞれにおける皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性を解析した。
●6~11歳群における皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性
6~11歳群の皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性について解析した結果、細菌叢の多様性を示すα多様性指標(Shannon Index)と、肌のバリア機能指標である経表皮水分蒸散量(TEWL)との間に負の相関関係が認められた(図3)。すなわち、細菌叢の多様性が高いほどTEWLが低く、バリア機能が良好な健やかな肌状態であることが示された。
さらに、ShannonIndexはレンサ球菌の割合と正の相関関係を示す一方で、ブドウ球菌およびコリネ桿菌の割合とは負の相関関係にあることが分かった(図4)。
これらの結果から、6~11歳ではレンサ球菌、コリネ桿菌およびブドウ球菌のバランスを適切にコントロールし、皮膚常在菌叢の多様性を高めることが、良好な肌状態の維持・向上につながる可能性が示唆された。
●12~18歳群における皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性
12~18歳群の皮膚常在菌叢と皮膚性状との関連性について解析した結果、アクネ菌の割合と角質水分量との間に正の相関関係が認められた(図5)。すなわち、アクネ菌の割合が高いほど、肌のうるおい状態が良好であることが示された。
これらの結果から、12~18歳では、アクネ菌が優勢な皮膚常在菌叢を維持することが、良好な肌状態につながる可能性が示唆された。
アクネ菌は一般的にニキビとの関連で知られているが、本来は皮脂などを分解して脂肪酸とグリセリンを産生し、肌を弱酸性に保つことで外部からの有害な菌の増殖を抑制したり、肌のうるおいを保つことで、皮膚のバリア機能を支える重要な役割を担っている。
一方で、皮脂の過剰分泌などによりアクネ菌が過度に増殖すると、炎症性物質の産生が促進され、赤みや膿を伴うニキビの発症につながることがある。このことから、健やかな肌状態を保つには、皮膚常在菌叢を適切なバランスに保つことが重要だ。
これらの結果から、成長に伴う皮膚常在菌叢の変化が、肌のバリア機能やうるおい状態に影響している可能性が示された。今後は、年齢ごとの皮膚常在菌叢の特徴と肌悩みとの関連を明らかにすることで、各年代特有の皮膚環境に着目したスキンケア化粧品の開発を目指す。なお、同研究の成果は6月11~14日に京都で開催された第125回日本皮膚科学会総会にて発表した。
また、成人の皮膚常在菌叢(※)では、健常人30人(女性15人、男性15人:24~48歳)を対象とし、綿棒による拭き取り法で額及び頬から、夏と冬の2回サンプリングを行い、次世代シーケンサーを用いて皮膚常在菌叢を網羅的に解析した。その結果、細菌について、性別、部位、季節に関わらず、アクネ菌が最も割合が高く、次いで表皮ブドウ球菌が多く生息していた。
※ International Journal of Cosmetic Science Vol.45 No.3
Relationship between skin fungal and bacterial microbiomes and skin pH



























