2026年の中国美容博覧会に足を運んだ。出展社数は3200社超。広大な会場を歩いてまず感じたのは、中国の美容市場には、まだまだ大きな熱があるということだった。公式発表はまだ確認できていないが、出展した日本ブランドの関係者によると、来場者数は50万人を超えたという。食品、医療、自動車、消費財など多様なカテゴリーが集まる中国国際輸入博覧会でも来場者は40万人台と聞く。美容だけでそれを上回る規模になるのなら、この分野への関心の高さはやはり特別だと思う。

ただ、中国を大きな消費市場として見るだけでは足りないのかもしれない。現地企業から、生成AIで作ったTikTok向けのショートムービーが送られてきた。「ここまで精度が上がったよ」と。確かに、生身の人が演じているようにしか見えない。それを何本も作り、反応を見ながら改善していくという。市場の大きさだけでなく、ビジネスの進め方そのものが速い。

政治の空気が冷え込むことはある。それでも、経済の現場まで閉じてしまうのは惜しい。美容は生活に近く、人の気持ちを動かす産業である。だからこそ、現場を見て、触れて、学ぶ意味は大きい。中国は、売り先であると同時に、これからの美容ビジネスを考えるヒントをくれる場所でもある。J-Beautyへの関心が高まっている今だからこそ、日本の中だけで議論を完結させず、世界の現場から学ぶ姿勢を忘れないでいたい。

月刊『国際商業』2026年07月号掲載