あらたは2026年3月期連結決算で、売上高が前期比1.9%増の1兆47億4900万円となり、11期連続で過去最高を更新するとともに、初の売上高1兆円を突破した。一方で、営業利益は同11.9%減の132億700万円、経常利益は同13.3%減の135億3400万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同2.2%減の101億3000万円と、増収減益となった。
カテゴリー別では、主力のヘルス&ビューティーが前期比2.6%増の3145億7700万円と伸長。専売・優先流通品の拡大に加え、ヘアケアなどが好調だった。紙製品は同2.4%増の1955億9700万円、ペットは同2.5%増の1916億9300万円、ハウスホールドは同1.0%増の1402億9200万円、家庭用品は同0.3%増の630億5800万円、その他は同3.6%増の214億4900万円となった。一方、ホームケアは同1.1%減の780億8000万円と前年を下回った。
業態別では、ドラッグストアが同2.3%増の5229億2400万円、ディスカウントストアは同6.6%増の821億8900万円、その他業態はコンビニなど新規取引の増加やEC伸長を背景に同7.3%増の1171億9500万円と好調だった。一方、ホームセンターは同1.9%減の1377億6000万円、GMSは同9.2%減の345億9300万円となった。スーパーマーケットは1100億8600万円で前年並みだった。
利益面では、売上総利益は前期比1.2%増の973億3000万円となったものの、売上総利益率は0.07ポイント低下。流通環境の変化によるセンターフィーやリベート増加が影響した。また、販管費は人件費や物流費の増加、広島センター移転に伴う一時費用、M&A関連費用などにより同3.6%増の841億2300万円となり、販管費率は同0.13ポイント増だった。
2027年3月期は、売上高が前期比2.5%増の1兆300億円を見込む一方、営業利益は同16.7%減の110億円、経常利益は同22.4%減の105億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同30.9%減の70億円を予想する。小売業再編やインフレによるコスト増加に加え、将来成長に向けた投資負担が先行する見通しだ。
「中期経営計画2030」で卸の枠を超えた機能進化へ
また、同社は新たに30年3月期を最終年度とする「中期経営計画2030」を策定し、「強さを磨き、未来を拓く」をテーマに掲げた。
定量目標としては、売上高1兆1600億円、経常利益160億円、EBITDA240億円を掲げる。26年3月期実績比で売上高を1552億円、経常利益を24億円積み増す計画で、ROEについても8%以上を維持する方針だ。
新中計では、成長戦略として三つの柱を据える。第1は、True Dataとの戦略的業務提携を活用した「リテールサポート機能の深化」だ。国内最大規模となる約6000万人分、年間購買金額5.5兆円規模のID-POSデータを活用し、地域性や店舗特性に応じた売場提案や返品削減提案を強化する。約3370社の小売業、約6万4000店舗との接点を生かし、「選ばれる卸」への進化を目指す。
第2は、M&Aを活用した新たな成長ドライバーの確立。26年3月期にグループ化したmshとPoliteとのシナジー創出により、化粧品カテゴリーの販売強化を推進する。mshの持つ商品開発力やブランド力と、あらたの物流・提案・販売機能を組み合わせることで、30年3月期までに化粧品カテゴリー売上高を26年3月期比で200億円以上押し上げる計画だ。
第3は、物流インフラへの大型投資。28年には関西新センターの稼働を予定しており、約100億円を投じる。新センターでは、従来比3分の1の人員で1.5倍の出荷量を実現する計画で、生産性向上と物流効率化を進める。加えて、首都圏でも新センター構想を進めており、拡大する物流需要への対応力を高める。
収益改善に向けた体質強化戦略では、専売・優先流通品の拡大を柱に据える。専売・優先流通品の売上高構成比は26年3月期実績の7.8%から、30年3月期には9%へ引き上げる目標を掲げた。高付加価値商品の発掘やカテゴリー拡大、グループの商品開発機能活用によって売上総利益率の改善を図る。
さらに、IT・DXや新型マテハン導入による人件費抑制、共同配送や配送ルート見直しによる物流費抑制、契約倉庫見直しによる物件費削減など、販管費率抑制施策も進める。売上伸長率に対し販管費伸長率を抑え込むことで、利益体質の改善につなげる考えだ。
財務戦略では、ROICを投資規律として活用し、EBITDAをキャッシュ創出力の管理指標として位置付ける。4年間で営業CF約540億円を見込み、500億〜600億円の成長投資を実施。設備投資には約190億円、株主還元には150億円以上を投じる計画だ。
さらに、サステナビリティ面では、30年3月期までにScope1・2ベースでGHG排出量を24年3月期比50%以上削減するほか、女性管理職比率を5.2%から10%へ引き上げる目標を設定。共同配送や商品情報一元管理会社の設立など、サプライチェーン全体の効率化にも踏み込む。
東風谷誠一社長は「当社にとって重要な変革の時期。体質強化戦略と成長戦略の二層で推進し、真の強さを磨き、新たな未来を拓く4年間」と中計への意気込みを強調した。
また30年以降を見据えた戦略として、商品開発機能の強化やアジア・ASEAN地域での海外展開加速、店頭管理機能の再構築、基幹システム刷新にも取り組む方針を示し、卸売業の枠を超えた機能進化を進めることで、中長期的な競争優位性の確立を狙う。






















