コーセーは、睡眠状態の悪化で肌から放出される不快な「寝不足臭」であるジアリルジスルフィド(ニンニク臭の主成分)のにおいを、3種の天然香料を用いて効果的に抑える香りを開発した。ベルガモット油とベチバー油を用いてよい香りに調和させる「ハーモナージュ技術」と、オポポナックス油によりにおいの感覚器官に働きかける「レセプターロック技術」という二つのアプローチを組み合わせることで、ニンニク臭の効果的なマスキングを実現した。
健やかな毎日を過ごすためには良質な睡眠が不可欠だが、多忙な現代社会ではその時間を確保し続けることは容易ではない。睡眠は肌の美容においても重要な時間であることが知られていることから、同社では睡眠と肌の状態について研究してきた。においに関する研究では、東海大学理学部化学科 関根嘉香教授との共同研究により、睡眠状態が悪化すると、ニンニク臭の主成分として知られるジアリルジスルフィドが皮膚から放出されることを明らかにしてきた。この成分は睡眠が不十分な際には不快感のある「寝不足臭」の要因となり、習慣的に悪い睡眠状態が続いている人ほどこの成分の放出量が増えることもこれまでの研究で分かってきている。そこで同研究では、この「寝不足臭」を効果的に抑えるアプローチの探索を行った。
悪臭を抑制する方法の一つに「ハーモナージュ技術」の活用が挙げられる。この技術は、悪臭を無理やり抑え込むのではなく、別の香りとハーモナイズ(調和)させることで心地よい香りに変化させる手法だ(図2)。
そこでジアリルジスルフィドと様々な天然香料を混合し、その抑制効果を検証した。その結果、ベルガモット油、ベチバー油の2種においてジアリルジスルフィドに対する悪臭抑制効果があることが分かった(図1)。
悪臭を抑制するもう一つのアプローチとして、鼻にある臭いを感じる器官である嗅覚レセプターの特性を応用した「レセプターロック技術」がある。ヒトには約400種の嗅覚レセプターがあるといわれており、におい成分がレセプターと結合することでそのにおいを認識する、鍵(におい成分)と鍵穴(レセプター)のような仕組みをとっていることが知られている。「レセプターロック技術」は、悪臭とは別のにおい成分がレセプターに結合することで、悪臭成分がレセプターと結合できないようにして、悪臭を感じにくくさせる手法だ(図3)。
ジアリルジスルフィドと同様のレセプターに結合する天然香料としてオポポナックス油が知られており、このオポポナックス油とベルガモット油、ベチバー油を含んだ香料を使用することで、「ハーモナージュ効果」のみよりも高い悪臭抑制効果を実現できることが明らかとなった(図1)。
以上から、ベルガモット油、ベチバー油、オポポナックス油を組み合わせることで、「寝不足臭」に含まれるジアリルジスルフィドのにおいを効果的に抑える香りを開発することができた。
今回の結果は、睡眠不足の現代人にありがちな「寝不足臭」に対する有効な解決策の一つとなる。今後もヘルスケア領域を視野に入れた新たな価値提案を実現すべく、独自性の高い商品やサービスの開発に努めていく。

























