ライオンと東洋インキが共同開発した『ルックプラス バスタブクレンジング クリアシトラスの香り つめかえ用大サイズ』(2024年11月発売)のつめかえパックが、公益社団法人日本包装技術協会主催「2025日本パッケージングコンテスト」において最高賞である「ジャパンスター賞」のうち、「経済産業省脱炭素成長型経済構造移行推進審議官賞」を受賞した。

「ジャパンスター賞」の授賞式は25年8月27日に東京ガーデンパレスで開催。なお、同製品は本年度同協会主催の「第49回木下賞(研究開発部門賞)」を受賞している。

日本パッケージングコンテストは、日本包装技術協会が主催するコンテストで、時代と社会の要請に対応した、生活文化に優れたパッケージングとその技術の開発普及を目的に、1967年から開催され2025年で47回目を迎える。審査員は実物を手に取り、材料、設計、技術、環境対応などあらゆる側面から評価し、最高賞のジャパンスター賞をはじめ、包装技術賞、包装部門賞が選定される。本年は、ジャパンスター賞12件、包装技術賞6件、包装部門賞13件が選定された。

入賞作品には、商品へのGP(GOOD PACKAGING)マークの使用が認められる他、25年10月開催予定の展示会「暮らしの包装商品展2025」で一般公開され、さらに世界各国の入賞作品が集まる世界包装機構主催の「ワールドスターコンテスト」への出品資格も与えられる。

ライオンは、資源循環型社会の実現を目指し、50年に向けて使用するプラスチックを最小限にすること、使用したプラスチックはすべてを回収し再生することを目標に、課題解決にチャレンジしている。同社製品において、主要な包材であるつめかえパックは、容器に求められる性能を確保するために複数の異なる素材を組み合わせた積層フィルムでできている。しかし、積層フィルムから複数の素材を分離し高純度な単一素材として回収することは難しく、包材のリサイクルを阻害する要因の一つとなっている。そこでライオンは東洋インキと連携し、使用済み製品の回収後に積層フィルムを簡便に剥離する易剥離接着剤を開発し、リサイクル性を向上させたつめかえパックの実用化を目指した。

所定の条件下で溶解する易剥離接着剤を用いて異素材フィルムを貼り合わせることで、積層フィルムからリサイクル可能な単一素材を効率的に回収する「剥離リサイクル技術」を製品に初めて採用し、実用化。この技術により開発した積層フィルムは、特定条件下のアルカリ水溶液中で攪拌すると、単一素材である「ポリエチレンフィルム」と、ナイロンやPETなどからなる「表フィルム層」へ分離する。その際、比重の違いにより「ポリエチレンフィルム」のみが水に浮くため、再生材料として容易に回収することが可能だ(図1)。さらに、従来のつめかえパックに必要な内容物の保護や耐衝撃性といった基本性能を維持するため、洗剤使用時に生じる層間剥離を防ぐ設計も施した。これにより、リサイクル時には容易に剥離できる一方、実際に商品として販売・使用する際には十分な耐剥離性を確保している。

図1

今回の受賞は、複数の素材を使用した容器の品質を保ちながら、リサイクル可能な「ポリエチレンフィルム」のみを効率的に回収可能にした点が、環境に配慮したとして高く評価された。

ライオンが目指すプラスチック資源循環を推進するためには、さまざまなステークホルダーとの連携が不可欠。今回の技術に関しても、さまざまなメーカーやリサイクル業者と連携し、リサイクル可能な製品の拡大及びリサイクルプロセス構築の後押しをすることで、技術を一般化し社会システム化するように働きかけていく考えだ。

ライオン研究開発本部の花田真一氏は、次のように受賞コメントを寄せた。

「長期環境目標である『LION Eco Challenge2050』の達成に向けて、当社製品の包材として採用比率の高いつめかえパックを資源として循環させるために、当社の包材設計技術を進歩させるだけでなく、他社の優れた技術を取り込みながら、開発に取り組んでいます。今回の開発では東洋インキ様と連携し、開発初期の性能評価から当社での生産適性確保に至るまで、課題の抽出や改善を繰り返し、製品化に至りました。引き続き、本技術を活用したつめかえパックの資源循環を広めていくとともに、環境に配慮したパッケージを開発してまいります」