タカラベルモントは2025年8月26日、「大阪・関西万博クロージング記者懇談会」を開催した。同社は、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」および「大阪ヘルスケアパビリオン」のテーマ「REBORN」に共鳴し、出展を決めた。1970年開催の大阪万博にも出展した思いと同じく、社会の発展に貢献するために、美容と医療が融合した「未来のヘルスケアサロン」が実現する美の世界を展示。2050年の宇宙時代における「真の美」について考える空間になっており、大きな話題を集めている。

同社が考える未来のサロンは、ヘアサロンとしての役割と人々の健康をサポートする役割を両立することだ。イノベーションの実装とライフサイエンスの進歩により、健康寿命の延伸とともに人々の豊かさの尺度の多様化に合わせたサービスが求められるに違いない。同社のパーパスは「美しい人生を、かなえよう」で、そのような社会実現のために、事業の強みである「サロン事業」を起点に、人々が健やかであり続けるための「未来のヘルスケアサロン」の実現を目指すという。

大阪ヘルスケアパビリオンの流入率は20.46%。一般的な数値の数十倍という人気ぶりだ。その価値を最大化するため同社は10月13日の閉幕が近づいたのを機に、万博レガシーを継承する「サステナビリティアクションプラン」を明らかにした。「きたるべき宇宙時代を見据え、資源循環の未来をともに考える」と打ち出したのは、水や空気が不足する宇宙空間においてヘルスケアを提供することを考えることが、地球上において環境負荷の小さいサステナブルなビジネスの実現に結びつくという考え方。「万博閉幕後、タカラベルモントの展示からゴミは出さない」と吉川秀隆会長兼社長は強調する。

サステナビリティアクションプランの第一弾は、デザイナー・コシノジュンコ氏が手掛けた展示スタッフ用ユニフォームを全国の小中高等学校およびデザイン・理美容分野の教育機関に寄贈することだ。展示スタッフ用ユニフォームは、未来の光をイメージしてデザインされている。コシノジュンコ氏は「未来を創るということは、挑戦であり、実験そのもの。まずは、やってみることが何より大切です。未来は自由で、無限の可能性に満ちています。このユニフォームとタカラベルモントが歩んできた2度の万博の歴史を通して、未来を切り拓く力を感じ、可能性を広げてほしいと思います」とコメントしている。

今後、宇宙の極限状態でも使える技術開発に挑む

コシノジュンコ氏

また展示部品も再活用する。金物の総重要は537.71キログラム、金物をつなぐボルトの総本数は1万1041個、アクリルの枚数/総重量は1580枚/360キログラム、壁面造作の総重量は946キログラムである。そして同社は、宇宙のような極限状態でも実現可能な美と健康をかなえる技術開発に向け、社長直轄プロジェクトを26年度に立ち上げる。同社にとって大阪・関西万博は、挑戦の通過点に過ぎない。

月刊『国際商業』2025年11月号掲載