ナリス化粧品は、世界で初めてハイブリッドローズの「月光」と乳酸菌のHOKKAIDO株®から作ったバラの発酵エキス(表示名:乳酸桿菌/ハイブリッドローズ花エキス発酵液)を開発することに成功した。化粧品成分の国際共通表示名称INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients 化粧品原料国際命名法)では、「LACTOBACILLUS/ROSA HYBRID FLOWER EXTRACT FERMENT FILTRATE」と登録された月光発酵エキスには肌の濁りの要因であるニトロ化物を分解する効果や過剰なアポトーシス(細胞死)を抑制する効果など複数の効果が認められた。INCIに新規登録された「乳酸桿菌/ハイブリッドローズ花エキス発酵液」を配合した化粧品として世界初である。

宮城県登米市ナリス ローズガーデンで撮影した「月光」

北海道立総合研究機構提供
同社は1992年にバラが持つ肌の老化対策に関わる研究で社団法人大阪工研協会から「工業技術賞」を受賞するなどバラの研究について30年以上の知見を蓄積している。今では9種類のバラの花弁から採取したオリジナル成分を開発するほど、バラの研究に注力しており、花弁の色によって肌に与える効果が異なることを明らかにしている。これまでの研究で黄色のハイブリッドローズには、弾力成分の分解酵素を阻害する効果があることを突き止めており、交配が難しく、1000分の1の確率でしか発芽しないとも言われる黄色のハイブリッドローズの中でも、花色、花形、香りの3拍子そろった美しい「月光」には、特別な有効性があるのではないかと考えていた。北海道の寒冷の地でも生き抜く生命力を持つ乳酸菌と掛け合わせることで「月光」にさらなる力を吹きこむことができる可能性があると考え、これらを掛け合わせた新成分の開発に取り組んだ。
宮城県登米市の自社バラ園で栽培を行い3年かけた研究の結果、「月光」には単独でも角層部分でニトロ基と角層タンパク質が結合して起こる肌の黄ばみの一因となる現象であるニトロ化を抑制する効果、ニトロ化物を分解する効果、紫外線などで過剰に誘導されることで肌の異常な角化や肌荒れの原因となるアポトーシス(細胞死)を抑制する効果、細胞毒性を低減させる効果、糖化物を分解し、糖化を抑制する効果、角層細胞の接着因子の分解を抑制し正常な角層剥離が行われなくなるカルボニル化を抑制する効果があることが分かった。
月光と乳酸菌のHOKKAIDO株®を掛け合わせて確認したところ、七つの効果のうち、ニトロ化物分解、アポトーシス抑制、低細胞毒性の三つにおいて、その効果が発酵により著しく増強することが分かった。また糖化物分解効果、糖化抑制効果、カルボニル化抑制効果、ニトロ化抑制効果についても発酵させることでその効果が減少することはなく、同等以上の効果を持つことも分かった。これらの結果から、複数のアンチエイジング効果を持ち高濃度配合が可能な成分の開発が実現した。
ナリス化粧品研究開発部佐藤裕太氏は「当社はこれまで糖化やカルボニル化など多くの細胞の老化による変化の研究を行ってきましたが、中でもニトロ化については2020年に開催された化粧品技術者の国際学会IFSCC Congressで発表するなど特に注力してきた分野です。私自身は入社以来7年、バラの研究をしていますが、今回の成分は当社が研究してきたアンチエイジング研究の中でも、対処が難しい複合的な肌悩みに対しマルチな効果を発揮できるため、バラに秘められた『美』の力をこれまで以上に幅広いユーザーにお届けできると確信しています」とコメントしている。