エステーは9月17日、ウェルネス事業戦略発表会を開催した。まず上月洋社長がウェルネス事業の経緯や狙いについて説明。エステーはパーパスとして「こころに響くアイデアで、ふとした瞬間を、ふふっと笑顔に。」を掲げており、10年後のありたい姿として「日用品メーカーからウェルネスカンパニーへ」を掲げている。「これまでエステーは、例えば服が虫に食われないように防虫剤、家庭内の臭いの改善のために消臭剤など、負の解消が提供価値の中心になっていたと思います。われわれはこの提供価値を広げていこうと考えました。同時にチャネルもB2BやD2C、専門店などに拡大していこうと思います」(上月社長)。


上月洋社長はウェルネス事業参入の背景と狙いを語った

そうした指針の中、同社は新たに「かおり×ウェルネス」事業の創出に取り組むために、かおり事業開発部を新設。続いて登壇した執行役兼かおり事業開発部の山本一成部長は「地方創生ビジネス、かおりブランディングビジネス、かおりソリューションビジネスの三つを柱に、事業を展開していく」と事業の計画を語った。


かおり事業開発部の山本一成部長は具体的な「かおり×ウェルネス事業」の計画を発表

これまでエステーが取り組んできたクリアフォレスト技術は、地方創生ビジネスの先駆けだ。北海道のトドマツの未利用資源から空気浄化成分を抽出し、製品として展開。また、大学・病院・研究施設と連携して研究を進めるとともに、林地残材回収システムを開発。地域雇用の促進や経済発展にもつなげている。こうした取り組みを国内外ともに進めていくとしており、既に福井県、岐阜県・飛驒古川町、長野県山ノ内町との連携が決まっている。

かおりソリューションビジネス・かおりブランディングビジネスについては、2023年10月にM&Aをしたコードミーの知見を生かす。具体的には、AI創香を活用したブランディング事業と、かおりによる空間環境改善として、B2Bディフューザーや企業に向けた健康経営支援ビジネスを展開していく考えで、グループのB2B事業を担ってきたエステープロの営業力も生かしながらオフィスへの展開を重点的に進めていく。発表会では、コードミーの太田賢司CEOと、24年4月から9月まで「かおりによる健康経営推進協働実験」を実施した森ビルホスピタリティコーポレーションの執行役員企画管理部の森田俊明部長がトークセッションを行い、その成果と手応えについて語った。


トークセッション

エステーのウェルネス事業は、次なる事業の柱だ。上月社長は「既存のかおり商材や売り場といったものにとらわれず、失敗を恐れず、かおりを活用した新しいビジネスにどんどんチャレンジしてもらいたい」と期待を示した。

月刊『国際商業』2024年11月号掲載