ファンケルは5月16日、全直営店舗のスタッフが着用する制服を4年ぶりに刷新した。新制服のデザインキーワードは「エフォートレス(気取らずにおしゃれを楽しむ)」。全12アイテムの中からスタッフ一人一人が好みのアイテムを選び、自身の私服を組み合わせる仕組み。コーディネートは67通りで、自然体で安心感や親しみやすい印象を演出しながらも、しっかりとおもてなしができる、機能的で着心地の良い、年代や性別を問わずに取り入れやすいデザインになっている。
色調は、落ち着きと穏やかな印象があるライトグレーとリラックス感や清潔感のあるライトブルーの2種。制服を選ぶ楽しさや自分らしく個性を表現できる制服にすることで、新たな働きがいを創出する考えだ。さらに制服の一部には、海洋漂着したペットボトルから作られた再生素材を使用しているほか、使用済みの旧制服は回収し、アップサイクルして店装に活用するなど、環境に配慮した取り組みも推進している。新制服の制作には、オンワードコーポレートデザインと協業をした。
ファンケルは、直営店舗中期3カ年計画(24年〜26年度)において、足を運びたくなるお店づくりを推進している。その要素は「Products」「People」「Space」の三つで、直営店舗には、商品を販売するだけの場ではなく、ブランドを知ってもらうメディア機能を持たせようとしている。その一環として取り組むのは、今回の制服の刷新。制服の役割としては、従来のアウターブランディングに加え、インナーブランディングも重視され始めている。スタッフは制服を着用することで、組織へのロイヤリティが高まる一方で、企業姿勢を発信するツールにもなり得る。この両立を目指しているから、ファンケルは、デザインや機能性にこだわりつつ、個性を引き出す多様性を意識したデザイン、サステナビリティ重視の素材を選んだというわけだ。
「社員はSDGsを楽しみながら挑んでいる。新しい価値づくりを進める」と同社の佐藤由奈上席執行役員店舗営業本部本部長が話すように、ファンケル直営店舗の進化はこれからが本番だ。★
月刊『国際商業』2024年07月号掲載