大幸薬品の2023年12月期業績は、売上高は前年同期比21.4%増の61億2000万円。医薬品事業の増収が寄与した。一方、利益面では、営業損失10億500万円、経常損失12億4800万円、親会社株主に帰属する当期純損失36億1100万円。売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前回発表予想から下回った。
売上高は、医薬品事業が概ね前回の予想通りで推移したが、感染管理事業の第4四半期連結会計期間の実績が想定を下回り、直近の業績予想値から2億7900万円減少した。売上高の低下に伴い、販売費及び一般管理費の削減に努めたが、感染管理事業において棚卸資産評価損を計上したこと等に伴い、営業損失は直近の業績予想値から2億500万円損失幅が拡大。また、経常損失についても、営業損失と同様の要因により、直近の業績予想値から2億4800万円損失幅が広がった。
また、23年度において、共用資産を含む、より大きな単位において営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっていることから、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、足元の業績動向を踏まえ、将来の回収可能性を慎重に検討した結果、2023年12月期決算期末において、固定資産の減損損失24億2300万円を計上。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益の赤字幅は拡大した。
医薬品事業は、売上高は43.1%増の51億8500万円、セグメント利益は増収影響やコスト削減等が奏功し307.2%増の12億1200万円となった。製品関連では「ラッパのマークの正露丸」シリーズの液体カプセルタイプ「正露丸クイックC」のリニューアルを7月に行うとともに、「ラッパ整腸薬BF」も10月にリニューアルし、SNSやWEBでのマーケティングを強化したことで販売は好調に推移した。
国内の止瀉薬市場(2023年12月累計)は対前期比で113.3%となり、コロナの影響から回復し、コロナ前の水準を上回ってきており、堅調な需要に対し、シフト生産体制による操業時間拡大等の取り組みが進捗した一方で、原料の製造メーカーにおいて製造方法の承認書からの逸脱が判明し、一部製造ロットの自主回収や仕掛品のロットアウトが発生するなど、供給課題は依然解消には至らず、出荷制限をしながらの販売が継続。この結果、国内向けの売上高は32.0%増の33億3600万円となった。
海外向けについては、国内市場との生産調整によって遅れていた供給を一部再開できたことや、出荷価格の見直しによる値上げ影響等により香港や中国、台湾といった主要市場で大幅な増収となったことから、売上高は68.5%増の18億4900万円となった。
感染管理事業は、売上高は34.0%減の9億2900万円、セグメント損失は棚卸資産廃棄損等の減少や各種費用の抑制により対前期比で9億8700万円改善し11億9200万円となった。
24年12月期業績予想は、売上高は11.1%増の68億円、営業利益は4億1000万円、経常利益は3億6000万円、親会社株主に帰属する当期純利益で3億5000万円と利益黒字化を見込む。