2023年1月1日、ポーラ・オルビスホールディングス(HD)社長に横手喜一氏が就いた。同HD設立(06年9月29日)から社長を務めていたオーナー家の鈴木郷史氏は会長に就任。取締役会議長として新経営体制をサポートするという。横手氏は1990年4月にポーラに入社。国内、海外(中国)の要職を歴任後、2016年1月にポーラ社長に就任。20年1月同HD取締役になり、海外事業を舵取りしてきた。以前から将来を嘱望されていただけに、社長人事はサプライズではない。ただ、コロナ禍の影響もあり、中核の事業会社のポーラとオルビスの業績は伸び悩み、グループ全体の海外事業も新しい仕組みを構築中で、社長交代が23年1月だったことは意外な展開と受け止められたのではないか。横手社長が率いる新経営体制は、どのような方向に進むのか。ポーラ・オルビスHDの強みと課題について新社長に聞いた。
「で」ではなく「が」の仕事が大事
――23年1月に社長交代に踏み切った理由は何でしょうか。
横手 おそらく二つあると思います。一つは、1990年代後半に始まったポーラの構造改革など、長い間、グループ全体の成長を引っ張ってきた鈴木(会長)の存在意義は、とてつもなく大きい。ポーラ・オルビスHDの社長職は、そう簡単に引き継げるものではありませんから、ある程度の期間は並走しなければいけないのは間違いありません。それを考慮して、鈴木は2023年1月での交代を判断したのだと思います。もう一つの理由は、次の時代を担う人材が育ち始めていることです。例えば、私が取締役として昨年まで担当していたグループ海外展開担当は執行役員の田端(孝紘)が引き継ぎました。私の後任の条件は、HD役員ですから、グループ全体を俯瞰してジャッジできること、現地法人の存在をリスペクトできること。これらの条件を満たす人材が田端だったわけです。このような人材が各部門で育ち始めていることも、鈴木の決断を後押ししたのではないでしょうか。
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