小売業界のDXを推進するフェズは、リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank(ビーコンバンク)」を運営するunerry(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:内山 英俊、以下unerry)と業務提携契約を締結した。

本提携により、フェズが小売事業者と連携するID-POSデータなどの購買データと、unerryが保有するリアル行動データを掛け合わせ、商品軸/店舗軸で絞り込んだ顧客の購買データ分析に加え、店舗外の行動傾向や買い物傾向を可視化・分析する新ツール「Urumo Explorer」(呼称:ウルモ エクスプローラー)を共同開発し、11月1日より小売事業者、メーカー向けに提供を開始する。

消費行動の変化や顧客ニーズの多様化により、小売事業者やメーカーでは顧客体験価値を高める効果的な施策が求められ、これまで以上に消費者理解の必要性が高まっている。

こうした中、フェズは、複数の小売事業者とのパートナーシップにより約1億ID分のID-POSデータと連携し、購買データや店頭データ、バイヤー施策データ、販促データなどを管理・分析するリテールデータプラットフォーム「Urumo(ウルモ)」を開発・提供している。

unerryは、全国210万箇所以上に設置されているビーコンのネットワークとGPSによる位置情報技術を活用した、月間300億件以上の屋内外の人流ビッグデータをAIで解析する「Beacon Bank(ビーコンバンク)」を運営しており、全国店舗の来店や消費者の日常行動傾向(行動DNA®)等をデータ化している。

今回の業務提携により、顧客ごとの購買履歴を記録したID-POSなどの購買データや、店外行動・各施設への来訪等のリアル行動データなど、両社が持つビッグデータを掛け合わせ、店舗で商品を購入したショッパー像をより精緻化できる分析ツール「Urumo Explorer」を開発、提供を開始。また、unerryが構築しているビーコンネットワークの拡充を両社で行い、小売事業者やメーカー向けにリアル行動データおよび購買データを活用した広告配信と効果測定の取り組みも強化する。

「Urumo Explorer」は、従来可視化できていなかった各購買実態の特定ブランド購入者の店外行動傾向を各施設別に可視化することで、自社ブランド購入者や競合ブランド購入者の顧客像を精細に把握できるツール。自店舗以外の店舗や他施設の利用実態を明らかにすることで、特定商圏における購入者の傾向を可視化し、小売事業者・メーカーの双方が売上向上のために行う課題抽出や仮説設計、対象者に向けた施策の検証をする際などに活用ができる。

小売りの活用例としては、①各商圏の顧客解像度の精緻化②自社顧客のロイヤリティ向上および顧客育成③自社店舗の休眠・離反顧客の競合店利用状況の可視化による既存店の再活性化、メーカー向けの活用例としては①購買実態の地域差の可視化による地域ごとの最適な販売戦略の設計・検証②ブランドに紐づく各属性の購買実態の精緻化(チェーン別)による小売企業への提案精度向上③自社品購入者と他社品購入者の購買実態と店外行動の差異を元にした、カスタマージャーニーの設計・検証や販売戦略の設計――が挙げられる。

今回の提携について、株式会社フェズ開発本部 リテールDX企画部部長の奥平拓時氏は「過去、自分自身が小売業、製造業の実務にて感じていた不可視領域を『Urumo Explorer』によって今回ようやく可視化する事ができました。ぜひ小売業界、製造業界の皆さんに触ってみて頂きたいです。今後も業界の顧客理解に新たな常識を提供し続けたいと考えています」とコメントした。

unerry取締役CMO内山 麻紀子氏は「Urumo Explorerは、β版をモニター利用いただいた消費財メーカー様からも『販促領域に加え、ブランド領域でも意味のあるファインディングスが得られそう』とコメントをいただくこともあり、メーカー企業様の部署を超えた顧客理解とデータ活用の一助になれればと考えています。また小売事業者様にとっても、商品カテゴリ別の顧客定着状況 × 他チェーン利用傾向の可視化は、ID-POSの新たなデータ活用の広がりを感じていただけると期待しております。フェズ社とのこの度の提携を通じて、リテール分野におけるデータの掛け合わせによる提供価値の強化と、消費者にとって心地よいお買物体験の創出につながるデータ活用を一層推進してまいります」と述べた。