マンダムの業績が上向き始めた。2022年3月期は2期連続の営業損失を計上。特に日本事業が前年比8.3%の減収と足を引っ張った。しかし、23年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比111.6%(前期レート換算比108.1%)、営業利益は14億4000万円も増え、黒字に転じた。日本事業も増収増益となり、反転攻勢の下地が整った。実際、23年秋冬の新商品は単価が1.7倍に上昇し、脱マス戦略が進んでいる。また、各国の若手社員が国境や文化、組織の壁を越えて連携してメイクブランド「CYQ」を開発するなど、組織の動き方も変わり始めた。西村健社長は「人間系企業を標榜しているマンダムらしく、社員一人一人の能力を最大限に高めていきたい」と次の成長を見据え、動き出している。マンダムの現状と課題について話を聞いた。

脱ルーティンの新戦略が動き出す

――23年3月期の業績は順調な滑り出しです。市場は回復しているのでしょうか。

西村 8月末からASEAN3カ国の現地法人を訪問しました。シンガポールやマレーシアなどは、マスクを着用している生活者が日本に比べて少なく、コロナ前に近い状態に戻っていると思います。それに比べると、日本はアフターコロナへの移行が遅れているように感じますが、それでも一昨年、去年に比べれば人流が戻り、マンダムのブランドや商品を提案する機会が増えています。23年3月期第1四半期は、外出機会が増えることで男性用スタイリング剤の需要が戻ってきましたからね。ただ、生活者が動き出しても、コロナ前のビジネスモデルが通用するとは思えません。生活者ニーズの変化を捉え、マンダムらしいお役立ちを提供することが必要だと強く思っています。

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