資生堂の強みは、研究領域である皮膚科学やマテリアルサイエンスの知見を生かしながら、さまざまな成分の開発や効果の検証、有用成分を用いた製品開発などを進めてきたことだ。ビューティーウエルネス分野の研究にも早くから注目し、身体の内側から美を支えるサプリメントや食品などの研究にも長年取り組み、内外から美へ導くアプローチを提案してきた。しかし、これまでの研究では、併用の効果は十分に確認されていなかった。そこで肌に有用な新たな成分の探索に加えて、経口剤と塗布製剤を併用することによる効果について調べたところ、ワサビノキ葉に、抗酸化効果の高いグルタチオンの産生促進効果およびメラニン産生抑制効果があることを見いだした。さらに、ワサビノキ葉および鳳梨(ほうり)抽出物などを配合した経口剤と、資生堂が開発した成分の4-メトキシ酸カリウム塩やトラネキサム酸を配合した塗布製剤を併用することにより、単独使用時と比較して、肌の明るさや透明度がより一層高まることを確認した。

ワサビノキ葉のグルタチオン産生促進によるメラニン抑制効果については、資生堂が見いだしてきた、身体が持つ生体内防御システムの働きに着目し、紫外線による肌の紅斑や黒化抑制効果を持つ成分発見(※1)などの知見を生かし、九州大学の片倉喜範教授と共同研究を実施。新たにワサビノキ葉に強い抗酸化力を持つ生体内成分グルタチオンの産生促進効果(特許出願中)とメラニン産生抑制効果を見いだした。

※1 枸杞(クコ)の実エキスの経口摂取による新たな効果の発見(2010年)

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