資生堂は、「SHISEIDO PROFESSIONAL」などヘアサロン向け業務用を中心としたヘアケア剤、ヘアカラー剤、パーマ/ストレートパーマ剤およびスタイリング剤商品等を日本とアジアで展開するプロフェッショナル事業について、Henkel  AG & Co. KGaA(ヘンケル社)に譲渡することを明らかにした。

プロフェッショナル事業の全体を包括する事業ブランド「SHISEIDO PROFESSIONAL」は、ヘンケル社に商標権の使用をライセンスする。一方、傘下の製品ブランドである「SUBLIMIC」「PRIMIENCE」「CRYSTALLIZING」など全ヘアブランドは、譲渡する。また、プロフェッショナル事業の日本国内での関連資産を承継する会社の株式20%を引き続き保有することを通じ、プロフェッショナル事業のさらなる成長をサポートしていく。

ヘンケル社は、ヘアサロンおよびコンシューマー向けヘア領域に強みを持つビューティーケア事業をグローバルに展開。日本・アジアを中心として確立されたブランドを持つ資生堂のプロフェッショナル事業は、欧米でのヘア領域の事業で豊富な実績を有するヘンケル社グループと一体化することで、グローバルレベルの投資機会と事業体制を備えることが可能になる。

具体的には、会社分割により、資生堂が日本国内で保有する対象事業の関連資産を資生堂の100%子会社に承継させた後に、その子会社の株式の80%をヘンケル社の子会社に譲渡するとともに、海外における対象事業の子会社株式および関連資産をヘンケル社グループ会社に譲渡する。

資生堂グループは、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」のもと、2021年から23年の3年間は、〝スキンビューティーカンパニー〟としての基盤を盤石にするべく、抜本的な経営改革を実行し事業ポートフォリオを再構築している。

プロフェッショナル事業は、1974年、業務用品営業部から当該事業を本格的にスタートし、さまざまな買収・統合を経て、2004年に資生堂プロフェッショナル(SPI社)を発足し、ヘアカラーやパーマ、ヘアケア、スタイリング等ヘアサロン向けの多くの定番アイテムを有している。

一方、ヘンケル社は1876年に創業した、140年以上の歴史を持つグローバル企業。世界で約5万3000人の従業員を有し、2020年の売上高は193億ユーロ(約2兆5000億円)、営業利益は26億ユーロ(約3400億円〈一時費用等を除く〉)にのぼる。同社はドイツに本社を置き、接着技術事業、ランドリー&ホームケア事業およびヘアサロン・コンシューマー向けヘア領域に強みを持つビューティーケア事業をグローバルに展開しており、近年、特にヘアサロン向けヘア領域の事業を欧州と米国において強化している。欧米でのヘア領域の事業で豊富な実績を有するヘンケル社グループと、日本・アジアを中心として確立されたブランドを持つ当社のプロフェッショナル事業が統合することにより、グローバルな展開力が実現する。とりわけ日本市場においては、事業規模や商品開発能力が拡大し、圧倒的な存在となることが期待される。

なお、雇用を優先する考えのもと、プロフェッショナル事業に従事する従業員は基本的にSPI社など譲渡先の会社に移籍し、新たなキャリアを目指すことになる。

資生堂では、今回の譲渡による22年12月の連結業績に与える影響については、2月9日公表の21年12月期の決算発表に含めて開示するとしている。なお、プロフェッショナル事業の21年12月期売上高は158億6600万円となっている。