中国の電力不足が日本の化粧品業界に大きな影を落としている。シャンプーなどの洗浄剤からファンデーションといったメイクアップまで幅広い分野で活用されている化粧品原料のシリコーンが不足しており、それに伴って価格も高騰。日本の化粧品メーカー、OEMが調達に苦慮しているのだ。国内ではコロナが落ち着き、化粧品業界にとってはようやく反転攻勢に打って出ようという矢先に、また頭を悩ませる事態が起きている。

シリコーンが化粧品に使われるようになったのは約50年前とその歴史は古く、安全性、安定性に優れることから、多くの化粧品に採用されている。数年前には、ノンシリコンシャンプーが大ヒットとなったこともあり、シリコーンがあたかも悪いもののように見られることも増えたが、化粧品業界においては必要とされる原料であることは間違いない。ある業界関係者は、「シリコーンの供給については既存顧客優先で、新規で購入する場合は入手困難な状況」と語り、供給量が著しく低下していることがうかがえる。また、原料メーカー中堅社員は、「この業界で働いて以来、ここまでシリコーンが不足し、価格が上がっているのははじめて」と言う。それほど異常事態となっているのだ。

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