ライオンは11月22日、泡状タイプの「すすぎが簡単なハミガキ」が、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されることを明らかにした。搭載は2022年を予定している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ・解決策のアイデア募集」において同製品を提案し、「ISS搭載可」と評価され、搭載が決まった。

宇宙生活では水は貴重な資源であるため、水を必要とする歯みがきは“超節水”で行う必要がある。歯みがき後も水ですすぐことが難しいことから、これまでは歯みがきをした後に飲み込むか紙に吐き出すなど、やり方に制限があり、人によっては「宇宙での歯みがきは不快感を伴うもの」だった。

そうした中、ライオンが提案した「すすぎが簡単なハミガキ」は、一般的なペースト状のハミガキと異なり、泡状タイプのハミガキで、文字通り「すすぎ」を簡単に行うことができる。主な特長は、①吐き出しやすくするため泡立ちを抑える②すみずみまでいきわたり、口の中に残りにくい③味が残りにくく、マイルドな香味(味・香り)④研磨剤無配合――の四つ。

今後の可能性についてライオンでは、同製品に採用された技術は、宇宙だけでなく、地上での生活課題に活用できるとの考えを示している。例えば、災害時などの水不足環境下や医療・介護の現場での口腔衛生の維持などにもつながるため、宇宙生活/地上生活に共通して活用可能。今後もあらゆるオーラルケア機会の提供にもつながる研究として、さらなる活用可能性を検討していく考えだ。

なお、同製品は、ライオン研究員の視野拡大やモチベーション向上を目的とした“業務の時間を最大15%活用した”活動の中で創出された。この活動は必ずしも本業に直結する必要はなく、研究員の「ちょっとやってみたい」という小さなアイデアに挑戦する機会を提供するものだ。