資生堂は、研究開発(以下、R&D)の強化を目的に、独自の研究開発理念として、新たに「DYNAMIC HARMONY」を制定した。「DYNAMIC HARMONY」は、明治期に日本初の民間洋風調剤薬局として創業して以来取り組んできた、西洋の科学と東洋の叡智を融合した成り立ちに端を発するもの。一見相反する価値や両立が難しい価値を融合し、唯一無二の新たな価値を生み出すという独自のR&Dの考え方を当社の強みとして再定義し、明文化している。

同社はこの理念のもと、五つの研究アプローチを柱に据えることで、まず社内外に向けて資生堂R&Dの強みと独自性を可視化し、多様なバックグラウンドをもつ世界中の研究員が能力を最大限発揮することを狙う。また、これによりR&D部門のさらなる強化を目指し、イノベーション創出を加速させ、同社の企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」のもと、新たな製品やよりよいサービスの提供を行っていく。

五つの研究アプローチとは、①肌の内外から美しさを引き出す「Inside/Outside」②確かな効果を日本品質でお届けする「Functionality/Japan Quality」③お客さまの感性を科学で追究する「Science/Creativity」④プレミアム感と環境共生を両立する「Premium/Sustainability」⑤広くお客さまを知り、1人ひとりに最適な美を提供する「Individual/Universal」――のことを指す。

①では、体内、心、肌、外部環境などを繋ぐメカニズムを解明し、ホリスティックな考えに基づき、お客が本来もつ健やかな美しさを引き出す。②では、期待を上回る圧倒的な機能性と、安全・安心をはじめとする日本ならではの徹底した品質へのこだわりを高いレベルで両立する。③では、多様なお客に心から満足してもらうため、潜在的・主観的な感性や気持ちを客観的なサイエンスで解き明かすことにより、これまでにまだ誰もが感じたことのない美や心地よさの感覚・体験を新たに創り出していく。

④では、人や社会や地球環境への尊重・共生と、効果や上質なデザイン、感触などから感じる満足感を両立させる、資生堂ならではのサステナブルな価値創出に挑戦する。⑤では、長年蓄積してきた世界中の膨大な顧客データを活用し、お客一人一人にパーソナライズした最適なソリューションを生み出すことで、多様な価値観を持ったお客のニーズを満たす独自価値を創出する。

これら五つを軸に、資生堂がこれまで長年強みとしてきた研究領域を深化させるとともに、変化する社会環境やお客さまニーズに迅速かつ幅広く対応していく。また、研究アプローチは常に変化しながら、今後六つ目、七つ目のアプローチを創出するなど、進化を続けていく予定だ。