「希望よ、動き出せ」。キーメッセージに「I HOPE.」を掲げる化粧品ブランド「KANEBO」への支持が広がっている。日本では百貨店、一部化粧品専門店やオンラインショップで展開。2020年2月のリブランディングを機に、市場を上回る成長を続けている。突発的に始まったコロナの感染拡大によって生活者のライフスタイルは激変。先行きへの不安が広がるなか、「KANEBO」が語る「希望」は女性の心をつかみ、購入者は20代から50代以上と幅広い。「KANEBO」は、成長への強い基盤を築いたと言えるだろう。今後の成長戦略について、内河昌恵ブランドマネジャーに話を聞いた。

パーパスの再定義でブランディングが加速

――リブランディングでは、単なる美しさではなく、希望を語るブランドになる、と宣言。それが化粧品の概念を覆しています。

内河 花王は明確なブランド・パーパスを重視しています。18年に化粧品事業の新しい成長戦略を発表したとき、ブランドの存在意義を見直して、ブランドをより尖らせ、磨きをかけていきました。その中で16年9月に誕生した「KANEBO」も、過去の歴史を振り返ったんです。例えば、ブランド広告は、1971年の「For beautiful human life」、80年の「女性の時代宣言」、90年の「芸術家産業宣言」など、10年ごとに社会に対して、その時代の発展に必要なメッセージを打ち出してきました。また、79年には当時の英国のマーガレット・サッチャー首相が来日した際の写真を用いて「Welcome, Mrs. Thatcher!」と大々的に打ち出した新聞広告を展開しました。そこにはブランド名と会社名が広告の最下部にあるだけで、カネボウ化粧品の単なる商品訴求ではなく、社会に寄り添い、女性を応援し、社会を支える気持ちがありました。2020年のリブランディングでは、この点に着目し、「I HOPE.」というブランドメッセージにたどり着いたのです。これは現代社会とともに、化粧のあり方もストレートに表現していると思います。マイナスをゼロにするのではなく、プラスを与えていくことは、まさに化粧品に求められている役割の一つだからです。

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