受託製造の本分である研究開発を深掘り
研究・生産技術の強化――。日本色材工業研究所は化粧品ODM/OEMとしての王道を極めぬく考えだ。その中心になるのは同社の主力となるメイクカテゴリーにおける技術の深耕。例えば充填技術はその一つだ。リップやチークといったポイントメイクを製造する際に採用しているホットフィル(熱間充填)にかかわる知見を深掘りすることで強みの強化を進める。充填技術の改良は化粧品OEMの歴史ともいえる。以前は金属の型に流し込んで整形し、容器に設置し最後に艶出しするといった工程だったが、現在はゴム製の型に注入するだけで、艶出し工程は省略できるようになっているし、ゴム型に最初から模様をつけておくと立体的な形態でも整形が可能になっており、生産技術の大幅なアップデートができている。ただこれも完ぺきではなく、材料によってはゴム型との相性が悪く、数回程度で型が使えなくなることもある。奥村浩士会長は、「口紅やチークといった分野では強みとして確立できていますが、より磨きをかけていくことで海外向けの提案を強化できる」と説明。引き続き生産技術の改善・改良を推し進めていく考えだ。
同時に生産ラインの省力化も追求していく。生産ラインでは受注が多くなればなるほど人員が必要になってくるが、将来的に労働人口が縮小する見通しにある中で、その代替方法の確立が化粧品業界の大きな課題になっている。化粧品メーカー、OEMを含め、オートメーション化がカギとされているが、メイクアップカテゴリーでは色味のバリエーションや容器の形状などクリアしなければいけない部分が多く、ともすると非効率につながりかねない。この課題について奥村会長は、「SDGsの切り口が解決する糸口になる可能性はある」と指摘。容器リサイクルの視点がメイクアップカテゴリーにも波及することが期待される。
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