大手4社で異なる専門店とECの考え方

化粧品専門店は、EC台頭の荒波に飲み込まれる。これは避けられない現実だ。化粧品販売チャネルにおける専門店の優位性は、国内メーカーの高級品を独占的に取り扱うところにあった。しかし、古くから続く商慣習が崩れたばかりか、コロナ禍を機に生活者の購買行動は激変。専門店の唯一無二の顧客接点であるリアルの売り場から、ECシフトが鮮明になっている。もちろん、リアルが消え、ECだけが残るわけではない。ただ、EC台頭が顕著になったことで、特にカウンセリング販売に力を入れてきた高級化粧品ブランドは、リアルとネットの融合に対応せざるを得ない。この流れを受けて、コーセーは2021年6月1日、化粧品専門店の経営者に対し、コスメデコルテの新戦略を明らかにした。これにより、資生堂、花王、アルビオンを含む国内大手4社のECへのスタンスが明確になり、専門店と高級ブランドの関係性が新たなステージに突入することになった。

専門店チャネルで高級ブランドを展開する国内メーカーの中で、ECに最も距離を置くのはアルビオンだ。20年4月、5月は、初めての緊急事態宣言下において、同社初のEC販売に踏み切った。商品が買えなくなる、という顧客の切実な声に応える期間限定の取り組みだったが、21年3月期決算説明会に登壇した小林章一社長は「率直に申し上げて、売り上げは非常に小さかった」と説明。ECによる新規客の獲得は難しいとし、現段階でのEC活用は完全否定した。おそらく、アルビオンが望む顧客層とECの利用者層に依然として大きな乖離があると判断したのだろう。

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