デジタルを活かしたセフォラとアルタの対策

米国の日常生活は様変わりした。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計(2020年7月19日現時点)では、米国の新型コロナウイルス感染死者は14万人を突破。感染者数は370万人超で、どちらも世界最多である。私が住むカリフォルニア州は、ニューヨーク州から少し後の3月16日にロックダウンが始まった。生活必需品以外の買い物は禁止され、当然のことながら化粧品もリアル店舗での購入は難しくなった。このような未曾有の危機とはいえ、米国企業が躍動感を失ったわけではない。新型コロナを機にビジネスチャンスが生まれた事例は少なくない。

わかりやすいのは、化粧品専門店チェーンのセフォラ(Sephora)とアルタ(Ulta)の取り組みだろう。アルタは、広い駐車場を備えた路面店を1200店舗以上展開する郊外型のビジネスモデルで、全米で最も大きなビューティリテールである。新型コロナの感染が広がると、その900店舗以上で「カーブ・サイド・ピックアップ(Curve side pickup)」を始めた。消費者はアルタの公式ECで商品を選び、決済する。その後、車でアルタの駐車場に移動し、店員にレシートあるいは携帯電話の番号などを見せ、商品を受け取る仕組みだ。人と人の接触はもちろん、紙幣や硬貨の受け渡しもなく、消費者の支持を集めた。

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