武田薬品工業は8月24日、OTC事業子会社武田コンシューマーヘルスケア(TCHC)を米投資ファンドのブラックストーングループに売却することを発表した。売却金額は、企業価値2420億円に、TCHCなどの純有利子負債や運転資本等に係る調整を行い確定する。純有利子負債や運転資本等に係る調整を行うと、約1400億円の株式売却益(税引前)の発生を見込む。また、親会社の所有者に帰属する当期利益に対する増益影響は約1050億円と見通している。売却予定日は2021年3月31日。

TCHCは16年に武田薬品のOTC部門として分社化。20年3月期の単体売上高は前年比5.1%減の608億9700万円、営業利益は128億1900万円。ビタミン製剤アリナミン、感冒薬ベンザともに売り上げ減であった。ただアリナミンドリンクは、新製品のゼリータイプがけん引する形で売り上げは好調。一方、ベンザブランドは、症状別感冒薬のパイオニアとして市場をけん引してきたが、同様のコンセプトの感冒薬の登場もあって苦戦が続いている。近年は水虫薬スコルバや胃腸薬ザッツなど不採算品目の終売も進めており、TCHCの売り上げは16年度の売上高826億円、営業利益205億円をピークに減少傾向にあった。また、武田薬品は研究開発型バイオ医薬品のグローバルカンパニーへのシフトが進んでおり、ローカルでの展開にとどまっているOTC事業については、現状の事業展開のままでは新薬事業との相乗効果を見いだしにくく、シャイアー買収によりバランスシートが厳しい中で、成長への投資ができない状態にあった。

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