花王は8月19日、島津製作所、協同乳業、山口県、山口市、山口大学の6者で、高齢者の健康づくり等をテーマとした地域コホート連携に関する合意書を締結するとともに、山口大学医学部に同研究に取り組む社会連携講座を設立したと発表した。

今回の連携において山口県、山口市および山口大学は、同大学に高齢者の健康づくり等をテーマにした地域コホート研究講座を設置し、運営することになる。山口大学、島津製作所、協同乳業および花王は、高齢者の介護予防、加齢に伴う認知機能・移動機能などの低下予防に対する生活習慣や腸内フローラの関係性についての検証等をテーマとした山口県における地域コホート研究を実施する。

2019年10月時点の山口県の高齢化率(総人口に占める65歳以上の比率)は34.3%で、全国平均の28.4%を上回っているという(全国第3位) 。この高齢化に伴う課題に対応するため、島津製作所と山口県、山口市、山口大学の4者は18年12月に健康づくり等をテーマとした技術連携に関する基本合意書を締結し、協議を進めてきた。そして今回、花王は、協同乳業とともにこれに参画し、6者による高齢者の健康づくり等をテーマとした地域コホート連携に関する合意書を締結するに至った。

花王は、血中のキラルアミノ酸を迅速・高感度に一斉解析する技術を有しており、認知機能の変化を評価する指標として、血中に微量しか存在しないD-アミノ酸が有用であることを発表している。一方、島津製作所は、クロマトグラフや質量分析計など、血液や食品などに含まれる多成分を高感度に検出する高度な技術・製品を有しており、認知症に関しては血液から高い精度のアルツハイマー病変(アミロイド蓄積)検出法開発の実績がある。また、協同乳業は、腸内細菌叢の代謝産物解析を利用した機能性食品を開発しており、腸内細菌叢により産生されるポリアミンが老化抑制物質であることを見出している。

今回の6者協業により花王は、認知症の早期リスク低減という観点から、一人一人の脳健康を低負担でとらえるリスク診断技術やソリューション技術の開発に取り組み、認知症の予防を後押しする仕組みづくりを目指していく考えだ。