マンダムは、これまで、ボディペーパーなど清涼化粧品における心地よい清涼感を実現するための研究開発に取り組み、皮膚の感覚における心地よさを追求してきた。
そして今回、関西学院大学応用心理科学研究センター(KGU CAPS)のセンター長・片山順一文学部教授との共同研究により、ボディペーパーの使用における感情状態尺度を開発。これにより、ボディペーパー使用における感情状態の変化を数値で捉えることが可能になった。さらに、ボディペーパーの使用後に高められる感情状態因子がポジティブ感情と相関があることを見出した。
今回の研究では、まず普段からボディペーパーを使用している大学生 16 名(男性 6 名、女性 10 名)を対象に、市販のボディペーパー使用時に想起された言葉を全て書き出してもらい、その中から「スッキリした」や「安心した」などの感情状態に関連するワードを抽出。そして新たに大学生 83 名(男性 45 名、女性 38 名)にメントールとアルコ―ルを配合したモデルボディペーパーを使用してもらい、抽出したワードに対して「1:全く感じない」から「5:非常に感じる」までの 5 段階で評価を実施した。
得られた評価データから共通する感情状態因子を探索した結果、ボディペーパー使用時の感情状態の構造は、『リフレッシュ感』を表す「スッキリした」や「スカッとした」などの 6 項目、『リラックス感』を表す「安心した」や「落ち着く」などの 5 項目、『活力』を表す「前向きな」や「明るい」などの 3 項目からなる 14 項目で評価できることがわかった(表1)。
この結果から、三つの感情状態因子を構成する 14 項目を評価することで、ボディペーパー使用時の感情状態を精度よく評価することが可能となった。
また、これらの 三つの感情状態因子について、日本語版 PANAS(ポジティブ感情とネガティブ感情を測定する指標)との相関関係を確認した結果、いずれの感情状態因子(『リフレッシュ感」、『リラックス感」、『活力」)も「ボディペーパー使用前」、「使用直後」、「使用 5 分後」、「使用 10 分後」の全てのタイミングにおいて日本語版 PANAS のポジティブ感情との有意な正の相関が示され、特に「活力」因子との相関が高いことがわかった(表 2)。つまり、『リフレッシュ感』、『リラックス感』、『活力』はポジティブな感情に関連した心理尺度であることが示唆されたのだ。
さらに、開発した心理尺度を用いて、市販のボディペーパー(クールタイプ)使用時における感情状態の変化を評価。夏場の通勤時と同等の運動量を想定した軽度な運動タスク(室温 27℃でのスクワット 3 分間)後にボディペーパーを使用し、「運動直後」、「ボディペーパー使用直後」、「ボディペーパー使用 20 分後」の 三つの時点における感情状態を「運動前」と比較評価した結果、① 運動後のボディペーパー使用でポジティブな感情が高まる②ボディペーパーは一般的なおしぼりよりもポジティブな感情が高まる――という二つの結果が得られた。
マンダムは、今回の研究成果を応用することで、人の感覚の先にある心の動きを深く理解し、ポジティブな感情を喚起できる化粧品の研究・開発をさらに進めていく考えだ。なお、同研究成果は「日本感情心理学会第 28 回大会」(2020/6/20~6/30)において発表した。