「がんばれ! 日本!」を合言葉に小売業と協働キャンペーンを実施
新型コロナウイルス(新型コロナ)は、日本社会にとって未曽有の事態だ。それに対してP&Gは対策を矢継ぎ早に打っている。その一つは、3月24日に開催延期が発表された「東京2020オリンピック・パラリンピック」への支援強化。これまでワールドワイドパートナーであるP&Gは、世界共通のテーマ「ママの公式スポンサー(Thank You, Mom)」を掲げ、オリンピック選手とその家族、さらには世界中の家族を応援してきた。日本では東京2020大会決勝等観戦チケットなどが当たる店頭キャンペーンを行ってきた。新型コロナ感染拡大対策が最優先のいま、1年の延期決定は最善の策だろう。そのうえで、オリンピック・パラリンピックは日本社会を精神的、経済的に後押しする効果が期待されることになる。P&Gは、ワールドワイドパートナーとして「東京2020オリンピック・パラリンピック」の支援を継続することを表明。以下は、P&Gジャパンのスタニスラブ・ベセラ社長が、生活用品販売を担う流通関係者への感謝とともに取引先に送ったメッセージである。
「国際オリンピック委員会(IOC)及び東京2020組織委員会は、2020年3月24日に、東京2020大会の延期を決定しました。P&Gは何よりもオリンピック・パラリンピックに関わる全ての方の健康と安全を重視しており、東京2020大会を延期するという決定を支持しております。オリンピック・パラリンピックへ向けて一生懸命努力されている選手が、安全に大会に参加できるように尽力することは、スポンサーとしての責任だと考えております。
そのうえで、弊社は4月からのオリンピックキャンペーンの実施をスタートに、新たな日程の東京2020大会までの間、様々な活動を店頭展開で継続させていただきたく存じます。これは新たな日程の東京2020大会がこの前代未聞の難局を克服した象徴のイベントとなると信じているためです。弊社の一連のキャンペーンが日本を元気づけ、そしてカテゴリーの売り上げを強化することで、貴社ひいては日本経済に貢献できればと思っております。引き続きIOC/東京2020組織委員会と密に連携を取り、今後の協働キャンペーン実施に必要な確認を進めさせていただきながら、貴社との協働による店頭活性化に努めてまいります。
東京2020大会を盛り上げる協働キャンペーンの実施を通じて、お客様サービスの向上、カテゴリーの成長という共通のゴールにご協力いただけますと幸いです。この未曽有の難局を『がんばれ! 日本!』の気持ちでともに乗り越えていけますよう、今後とも弊社へのご高配を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」
滋賀工場でのマスク生産と在宅勤務のノウハウ提供
一方、P&Gジャパンの新型コロナ対策は、オリンピック・パラリンピックだけではない。感染者の拡大によってソーシャルディスタンスが強く求められ、マスク不足が深刻化。特に、日々の生活を支える製品を生産する企業、販売する企業はマスク確保が喫緊の課題になっている。 そこでP&Gジャパンは、スキンケアブランド「SK-Ⅱ」の生産工場である滋賀工場(滋賀県野洲市)において、6月上旬からマスクを生産すると決定。生産したマスクは、自社社員の健康と安全を守り、日常生活で必要とされるP&G製品群(洗剤、紙おむつ、ヘアケア製品など)を安定して生産、供給するために使用する。さらに行政などと協議の上、日本国内でマスクを必要とする組織に無償で提供する考えである。
また、P&Gの世界的なサプライチェーンのネットワークを活用して調達した工業用エタノール(消毒用・日本製)100リットルとサージカルマスク(BFE95%・中国製)100万枚をP&Gジャパンのオフィスがある東京都、兵庫県、神戸市と連携し、感染症指定医療機関(コロナウイルス感染検査・陽性者の入院先病院)に寄付する。工業用エタノールは20年4月21日に届き、サージカルマスクは同年5月に届く予定だ。今後も、行政・各自治体と連携し、現場のニーズと受け入れ態勢を確認しつつ、必要とされている支援に動く考えである。
一方、P&Gジャパンが培ってきた在宅勤務制度のノウハウも提供している。同社は2001年に在宅勤務制度を導入。08年から育児や介護などの特別な事由がなくても、原則すべての社員が在宅勤務を選べるようにした。新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言を機に、在宅勤務を導入する企業が増えているものの、事前準備が不足し、生産性が落ちている事例が散見される。そこでP&Gジャパンは在宅勤務時における「生産性とインクルージョンを最大限向上させるためのヒント」を共有することにしたというわけだ。
P&Gジャパンのホームページで公開(https://jp.pg.com/news/release_pdf/2020402v2.pdf)しているほか、16年に発足した社外啓発組織「P&G ダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」の研修プログラムに参加した企業を対象に提供する。このプロジェクトは「世界を変える力、未来を育てる力(A Force for Good, A Force for Growth)」のテーマのもと、「ダイバーシティ&インクルージョン」を強化しているP&G独自の研修プログラムを無償提供するというもの。これまで約400以上の企業・団体に対してトレーニングを実施してきた。P&Gは新型コロナを機に在宅勤務のノウハウを提供することで、急激に変化する日本のライフスタイルを支えていく考えだ。 グローバル企業であるP&Gは、世界中で行われている新型コロナ対策の情報をつかむことができる。さらなる日本の生活者への支援策を期待したい。
(取材協力:P&Gジャパン)