ゲスト 田川欣哉(デザインエンジニア)
ファシリテーター 菊池麻衣子(「パトロンプロジェクト」主宰)
今回の対談相手は、デザイン・イノベーション・ファームTakram(タクラム)代表の田川欣哉さんだ。同社は、デザインとエンジニアリングの両分野から、企業や組織が限界や領域を超えていくことを現実にすることで注目を集めている。田川さん自身も、トヨタ自動車「e-Palette Concept」のプレゼンテーション設計、経済産業省・特許庁の「デザイン経営」宣言の作成、グッドデザイン金賞受賞など、幅広く活躍中。文字通り、アートが持つクリエイティブな発想からビジネスの突破口を開くことを目指す本連載に相応しい方と言える。
菊池麻衣子(以下、菊池)田川さんは現在、21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」のディレクターを務めています。「最終的な作品には現れない思考プロセスを垣間見ることは『つくる人』を目指す当時の田川さんにとって宝物のようだった」という体験から生まれた展覧会は、まさにインスピレーションの宝庫。サントリー緑茶「伊右衛門」の、暖簾の「茶」の位置をずらす過程にも膨大なスケッチがあり、それぞれが美しいことに驚きましたが、そもそもTakramと企業のコラボレーションはどのように始まるのですか。
田川欣哉(以下、田川)大抵、企業からお悩みを相談されるところから始まります。既にあるものを改善したいという場合もありますし、全く新しいものを作りたいという場合もあります。
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