チャネル別の多様な戦略で認知拡大を図る

――新たな市場の掘り起こしとして、小売りの注目も集まりそうです。

 ネイルチップには現在競合相手が少ない。お店によってはスキンケアやメイクなどの品ぞろえは多くても、こうしたネイル用商品は少ないため、我々が商品を紹介すると喜んでもらえます。売り上げは、19年に昨対比3倍。20年は、流通拡大が本格化するので、さらに2倍以上の成長を見込んでいます。

――今後、強化するチャネルは。

 まずはバラエティショップとドラッグストアを中心に考えていますが、「ダッシングディバ」の魅力をきちんと発信できるお店であればどんどん入っていきたいです。20年はお客さまの目線に入ることでブランド認知を拡大していきたい。また、これまで取り扱いのない新しい店舗の開拓という量的な強化だけでなく、一店舗あたりの販売力向上という質的な強化もしたいと思っています。

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――具体的にはどう進めますか。

 現在取引をしているバラエティショップの中で、売り上げ上位かつ流動人口が多い店を旗艦店と定め、そこでは大型のブランドディスプレイとともに実演販売などのイベントを連携して行っていきます。東急ハンズのイベントでは、常時10人以上が列を作っているような状況で、1日でかなりの数を販売しました。こうしたイベントを日本の年中行事に合わせて行い、1店舗あたりの売り上げを拡大することにも注力していきます。

実演販売は常に多くのお客で囲まれ、盛況を博した

――店舗以外は、どのように活用しますか。

 チャネルごとに施策、商品を変えていきたいので、オンラインは実店舗とはまた違った戦略をとっていきます。まず、SNSなどではインフルエンサーを積極的に活用し、ここでも年中行事に合わせた新商品の紹介や啓蒙活動を行いたい。日本は以前、つけ爪ブームがありましたが、当時は接着剤を使用していたため、ネイルチップは自爪へのダメージが大きいというイメージがあります。そういう苦い思い出を持つ人たちに自爪にやさしい粘着剤を使用した「マジックプレス」の特長を伝え、認知の転換を図ります。また、現在大きな売り上げがあるテレビショッピングでは、新規のお客さまを獲得するための戦略を取っていきます。テレビショッピングは、売り上げ以外にも年齢層の高いお客さまに商品の特長を伝えるという大切な役割を持っていますので、SNSではリーチできない層にアプローチするチャネルとして、ブランド認知拡大にも役立てていきます。

あらゆる顧客接点でプロモーションを強化

――限定品など商品面での強化も検討していますか。

 韓国ではさまざまなコラボ商品を発売し、成功していますので、今後は日本でもインフルエンサーやネイルアーティスト、企業とのコラボレーションを考えています。また、現在発売している季節ごとの新商品に加え、日本専用商品を制作します。日本法人に所属するネイルアーティストがつくったデザインを商品化するプロセスを整え、20年夏は日本限定デザインを発売します。今年はオリンピック・パラリンピックなど国際的に大きなイベントも控えていますので、限定品を出すとともに、連動したキャンペーンも検討している最中です。

――20年は、認知拡大に努める1年にすると。

 そうです。「ダッシングディバ」のビジョンは、25年にアジアの女性の20%と一緒になって革新的なネイル文化をつくり出すブランドをつくること。現状はまだまだ取り扱い店舗数も少なく、日本には「ダッシングディバ」を知らない方がまだたくさんいます。ネイルチップやネイルシールの文化を定着させ、ライフスタイルとして広げるためにも、今年は認知拡大に全力を尽くし、今後の成長加速に向けた基盤を整えます。